福井県高浜町の原発立地に絡む関西電力の金品受領問題で、第三者委員会が報告書を提出した。30年以上に及ぶ地元有力者との癒着、関電の構造的腐敗は目を覆うばかりだ。この報告書を幕引きにしてはならない。

 元高浜町助役、森山栄治氏への便宜供与、さらに森山氏に関連する地元企業への「特命発注」は、極めて犯罪的だ。説明のつかない不必要な経費は、電気料金に上乗せされたと思わざるを得ない。消費者への裏切り行為である。

 公益企業は信頼で成り立つ。震災や台風被害で実感したように、電気は日々の暮らしに不可欠な公共資産だ。関電はその責務を独占的に担っている。役員交代や組織改革だけで信頼を取り戻せるわけがない。

 関電は、2018年9月に金品受領問題の社内調査報告書が作成された際、当時の八木誠会長、森詳介相談役、岩根茂樹社長の3人で「非公表」を決めた。

 取締役会や監査役への報告もなされていない、社長経験者だけの密室謀議である。先輩から後輩へ、脈々と引き継がれた悪弊。そして、透明性のかけらもない企業風土を象徴している。

 では、副社長から新社長となった森本孝氏は、旧経営陣とどう違うのか。この問題をどこまで知っていたのかも、判然としない。単に、金品を受け取る立場になかっただけではないのか。過ちを正して再生するためには、徹底的な真相究明を経るしかない。

 第三者委委員長の但木敬一・元検事総長は、旧経営陣への刑事告発の可能性について、金品を贈った側の森山元助役が死亡していることを挙げ、「確実な証拠もない。正直言って難しい」と記者会見で述べた。

 大阪地検には既に、八木前会長らを対象に、市民団体から会社法違反(特別背任、収賄)などの容疑で告発状が提出されている。今後の捜査が焦点だが、かつての検察トップが「難しい」と言えば、一定の影響力を持つだろう。捜査に水を差す発言である。

 「関電の原発マネー不正還流を告発する会」が募った告発人は、3371人に上るという。弁護団は「強制権限を持つ検察が捜査すれば(証拠は)出るはずだ」と但木発言に反発している。たとえ立件のハードルが高くても、検察は強制捜査に着手し、国民の疑念に応えるべきだ。

 昨年10月の第三者委設置から報告書公表まで、既に5カ月が経過している。国会での野党追及に対し、菅義偉官房長官らは「第三者委の調査を待つ」とかわし、国会での真相究明は棚上げ状態となっている。

 なぜ、これほどの時間を要したのか理解に苦しむ。第三者委を盾に、関心が薄れるのを待っていたかのような印象を受ける。原発マネーに群がる利権の構図は、福井県や高浜町にとどまる問題ではない。野党の追及を期待する。