阿波踊りの4億円余りの累積赤字問題を巡り、徳島市が主催者の一つである市観光協会の破産を申し立て、徳島地裁が破産手続きの開始を決めました。県民や観光客、旅行業者からは「夏の阿波踊りは開催できるのか」との声も上がっています。このままでは赤字問題に端を発した風評被害も心配されます。そこで、徳島新聞社は共催者としての責任を果たすため、阿波踊りを安定的に運営、未来に向けて発展させることを目的にした阿波踊り振興基金(仮称)の創設を市に提案し、原資として3億円を寄付することにしました。

阿波踊りの累積赤字は、観光協会が管理する阿波おどり事業特別会計に生じたものであり、弊社に法的な弁済義務はありません。ただ協会に対して、毎年の決算や累積赤字の詳細な開示を求めてこなかったことから、「主催者の一員として一定の責任がある」との考えを示してきました。

また、損失補償をしている市が、市民の負担(税金投入)を最少に抑えたいとしている点についても、弊社は「今後の阿波踊りの運営や振興も含めて、可能な限り協力していきたい」とコメントしてきました。

そんな弊社の見解を踏まえて打ち出したのが、今回の提案です。

阿波踊りの運営母体として作られたのが観光協会であり、財布を持っている協会が収支を管理し、弊社は運営を担当してきました。そうした構図から、今後も阿波踊りの安定運営や振興面でノウハウを生かしていきたいと考えています。

阿波踊りの運営に当たっては、台風での開催中止に伴うチケット代の払い戻しや、桟敷改修のための多額の出費にも備えておく必要があります。そうしたリスク対応や高額出費はもちろんのこと、阿波踊り情報の世界発信や、インバウンド(訪日外国人旅行者)誘致の推進などでも、基金が役立つはずです。

長年、阿波踊りの企画・運営に携わってきた弊社は、徳島の観光振興に一役買ってきたとの自負もあり、引き続き「徳島の宝」である阿波踊りを盛り上げていきます。そのためには最大限の協力をしていくつもりです。

県民のため、阿波踊りファンのため、観光客のために汗をかきたい、というのが徳島新聞社の決意です。