【累積赤字とその責任】

共催者として重く受け止め

―徳島市の阿波踊り事業でなぜ4億円余りもの赤字が積み上がったのか。

阿波踊りを市観光協会と長年共催してきた弊社として、重く受け止めています。

赤字が膨らんだ主な要因はいくつかあります。阿波踊り会計を担当していた協会が過去にまとめた資料によると、一つは、吉野川河川敷など市郊外に設けた臨時駐車場と市内中心部とを結ぶシャトルバスの運行費です。バスは明石海峡大橋が開通した1998年から導入していますが、当初5年間は利用者から運賃を徴収しない無料運行を続け、ここで1億2300万円の借入金が生じました。

荒天による踊りの中止も大きく、96年は台風の影響で2日間、2003年も降雨で1日中止になり、有料演舞場のチケット払い戻しなどで計6600万円の借金が生じています。他にも数次にわたる演舞場パイプスタンドの修繕・更新で、1億2500万円の借入金があります。

本来なら毎年の事業収益から、これらの借入金を返済していかなければなりませんが、単年度収支においても赤字が出る年が少なくありませんでした。

去る2月5日に外部有識者でつくる調査団が市に提出した観光協会に対する調査報告書では、「原則とされる複数見積契約の方式をとらずに契約している事例や支出の根拠となるべき契約書、請求書等の徴収・確認を十分に行わないまま、漫然と支出している事例が見受けられる」とされており、協会の不適切な会計処理が累積赤字を生む要因の一つになっていたと指摘しています。一向に減らない累積赤字の背景には、こうした構造的な要因もあったのではないかと考えています。

―赤字解消のためにどんな努力をしてきたのか。

過去にはその時々で収支の改善に向けた改革を行ってきたつもりです。特に03年から04年にかけて行った大改革は、協会と弊社が協議しながら進めました。03年にシャトルバスを有料化し、04年には有料演舞場の二部入れ替え制や指定席の導入、全国のコンビニを通じた有料演舞場チケットの販売などを始めました。

3年前からは一向に減らない累積赤字を深刻に受け止め、弊社は協会と市に改革の実践を呼び掛けました。演舞場設営の随意契約の見直しや、元町おどり広場の経費節減など改革案の提案もしてきたのです。しかし、いずれも協会側の反対で前進しませんでした。

―共催者として累積赤字の責任をどう感じているのか。

同じ主催者でも協会と弊社の間には役割分担があり、阿波おどり事業特別会計という、8月の踊り本番に関する「財布」は協会が管理してきました。演舞場の設営や改修などの発注業務も協会がそのほとんどを担い、弊社は演舞場の現場運営、前夜祭や選抜阿波踊りの運営全般に当たってきたのです。

しかし、弊社に会計運営上の権限がなかったからと言って、累積赤字の責任までも免れることができるとは思っていません。協会に対してもっと積極的に収支の開示を求めるなど、会計運営の正常化を促す機会を十分につくれてこなかった一定の責任が弊社にはあると感じています。

今にして思えば、協会も弊社も互いに遠慮があり、同じ主催者でありながら不都合な事実にはあえて触れないという空気があったのかもしれません。歴代担当者も累積赤字は気に掛けながら、それを補って余りある県内全体への阿波踊りの経済波及効果を目の前にして、赤字解消への取り組みが鈍っていたという側面も否めないと思います。

同時に弊社は、阿波踊りの事業体である一方、言論機関でもあります。巨額の累積赤字にメスを入れてこなかったことも反省点の一つです。

―共催者として、協会の累積赤字を補填する考えはないのか。

累積赤字を巡る昨年5月末の週刊誌報道では、協会幹部の発言を基にした虚偽の情報が流され、多くの事実誤認に基づく弊社への誹謗・中傷が今なお続いています。累積赤字を生み出す協会の構造的問題を改革しようと弊社が呼び掛けたことへの反発だったのかもしれませんが、このことで協会との信頼関係は崩れ去りました。

今となってはそんな協会の債務返済に協力することも難しく、補填をする考えは持っておりません。法的にも弊社は協会の債務の弁済義務を負ってはいません。

しかし、このままでは協会の累積赤字の損失補償をしている市に対して負担が求められることになります。借金返済の原資は税金です。この点は大変心苦しく、弊社は共催者として一定の責任があることを重く受け止め、今回新たに阿波踊り振興基金(仮称)を創設することにしました。

将来の阿波踊りの安定運営、振興発展のため、弊社は基金に積むための原資として、市に3億円の寄付を予定しています。