鳴門市大麻町で生まれたコウノトリの雌「あさ」と雄の「蓮(れん)」が巣立ちしてから、2日でちょうど1カ月を迎えた。少し遅れて巣立った雄の「なる」も含めた幼鳥3羽は、巣の周辺で餌を捕ったり空を舞ったりと、元気に過ごしている。
「あさ」と「蓮」が巣立ったのは6月2日、「なる」は同月8日。幼鳥3羽は真夏の日差しが降り注いだ2日午後、巣の南側の水田やハス田にくちばしを突っ込み、カエル、オタマジャクシ、ミミズなどの餌をついばんでいた。水田では親鳥が吐き戻した餌にも勢いよく食いつき、食欲旺盛だった。幼鳥3羽とも採餌(さいじ)行動により、くちばしと足は泥だらけになっていた。
複数の観察者によると、3羽は6月22日ごろから行動範囲を広げ、巣から半径1キロ付近まで飛び回るようになった。親鳥と同じように、電柱や鉄塔に止まることもある。18日には、親子5羽がそろって空を舞う姿が目撃されている。日中は巣の周辺で過ごすが、日が暮れた午後7時半ごろには巣に戻り、休んでいるという。
浅野由美子さん(43)=同市大麻町桧、パート従業員=は「3羽はいつも一緒で、きょうだいの絆の強さを感じる。巣立った当初より、少したくましくなったかなと思う」と話した。
野生で生まれたひなが巣立ったのは、国内で野生のコウノトリが絶滅した1971年以降、兵庫県豊岡市とその周辺以外では初めてだった。