企業法務の中でも事業再生分野で豊富な経験を持つ。最近では都内の老舗まんじゅう店の破産管財人を務めた。破産が公になり、店には閉店を惜しむ客が詰め掛けた。「江戸時代から続くブランドを残せないか。身が引き締まる思いでした」。スポンサーに名乗りを上げた大手企業との交渉をまとめ、伝統の味と従業員の雇用を守った。

 男女雇用機会均等法が施行された1986年に阿波銀行に入行。女性初の総合職に就き、結婚と長男の出産を経て順調にキャリアを重ねていた。しかし転勤族の夫に伴い上京。銀行を退職し、司法試験の勉強を始めた。次男を妊娠中も受験を続け、3度目の挑戦で難関を突破した。

 2児の母になって飛び込んだ新たな職場は「一言で言えば性に合っていた」。弁護士の業務は限られた期間に多くの利害関係者との調整を図らなければならない。それでも仕事はやりがいがあり、連日の残業も苦にならなかった。夫の実家近くに住み、子どもが「空飛ぶおばあちゃん」と呼ぶほど、育児には徳島の実母の手も借りた。

 ただ、当時の働き方には反省もある。「働き方改革は個人の意識と積み重ねで実現するもの。私は全く逆行していました」。今は、定時退社で働く子育て中の同僚を心から応援している。

 本年度は約5700人の会員を抱える第一東京弁護士会の副会長を務める。関東地方に甚大な被害をもたらした昨年10月の台風では、二重ローン問題などに対応する電話相談窓口の開設に奔走した。

 2018年からは、古巣である阿波銀行の社外取締役も務め、月1回は徳島での会議に出席するなど多忙な毎日を送る。「古里の澄んだ空気と、おいしい食べ物にいつも力をもらっています」。

 のだ・せいこ 永沢総合法律事務所(東京都中央区)パートナー弁護士。徳島市出身。徳島市立高、一橋大卒。1999年に弁護士登録(51期)。共著「破産実務Q&A220問」(金融財政事情研究会)など実務書の執筆も多数。56歳。東京都在住。