お鯉さんをモデルに描いた「阿波踊」(1930年ごろ、徳島城博物館蔵)

 大阪を中心に活動し、徳島との関わりも深い日本画家北野恒富(つねとみ)(1880~1947年)の没後70年を記念した展覧会が、大阪市のあべのハルカス美術館で開かれている。「なにわの美人図鑑」と題し、美人画を中心に約150点を展示。「よしこの」の名手、お鯉さん(本名・多田小餘綾(こゆるぎ)、1907~2008年)をモデルにした阿波踊りの絵も並び、来場者の目を引いている。

 恒富は金沢市生まれで、17歳の時、画家を志して大阪へ移った。新聞社で挿絵を描く傍ら独学で絵画を学び、大阪画壇の中心的存在となった。

 大正時代末期に恒富を塾長とする「南海画塾」が徳島に設けられると、たびたび徳島に足を運んで後進を指導した。1930年の日本美術院展覧会(院展)には、三味線を弾くお鯉さんと踊り子を描いた「阿波踊」を出品した。

 今回の展覧会には、この作品とは別の「阿波踊」(30年ごろ、徳島城博物館蔵)と、お鯉さんを描いた「阿波踊之図」(30年ごろ、木原文庫蔵)の2点が展示されている。2点とも所在不明となっている院展出品作に似た構図で、注文に応じて作った複製品とされる。

 美術館の北川博子主任研究員は「恒富は徳島に対する特別な思い入れがあったと思う。徳島の花街のたたずまいや女性の姿、踊りの雰囲気などを愛していたことが作品からうかがえる」と話す。

 会場にはこのほか、ビールのポスターなどの商業画、門下生の作品なども展示されている。17日まで。入場料は一般1300円、高校・大学生900円、小中学生500円。