どんな嘘をつくのか、と図鑑を探せば、ぬれぎぬのようである。灰色の地に、赤い頬やのどが愛らしい鷽(うそ)という名の鳥。「ふぃふぃ」と口笛に似たさえずりが、名前の由来だとか。古語で口笛を吹くことを「うそぶく」という

 「うそ」が嘘に通じることから、福岡県の太宰府天満宮では1月7日、参詣人が暗闇で木の鳥を交換する「鷽替え」の神事が執り行われる。一年の凶事が嘘になり、吉事に変わるとされる

 誰かが嘘をついているのなら、こちらは吉事に変わるまい。嘘か、でなければ記憶漏れか、勘違いか。学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画を巡る「首相案件」と記した文書が飛び出して、国会は大揺れである

 県職員が3年前に官邸を訪れ、備忘録として作成した、と愛媛県の中村時広知事は認めた。文書が正しいなら困ったことになる。安倍晋三首相の答弁によると、首相は昨年1月20日まで学園の動きを知らなかったはず

 きのうの衆院予算委員会でも、首相は疑惑を否定した。ぬれぎぬと言いたいのだろうが、信用の2字を匂いおこそうにも森友、加計、自衛隊と信じ難い事実が次々明らかになっている

 <鷽かへて大きな鷽となりにけり>長野蘇南。何が本当か、はっきりさせないと、いつまでも堂々巡りは続く。関係者の国会招致をためらう理由は、どこにもない。