新型コロナウイルスの感染拡大で、私たちの暮らしにも大きな影響が出始めた。「仕事を休んだ場合の補償は?」「臨時休校で子育て支援はどうなる?」―。この間、政府が打ち出した新たな対策をまとめた。

【休業中の給与】「特別休暇」で満額支給

 休業補償はさまざまなケースがあります。

 Q 子どもが通う学校が臨時休校になって働く親が仕事を休んだ場合、収入はどうなりますか。

 A 政府は、新型コロナウイルス感染対策で臨時休校した小学校、特別支援学校、幼稚園などに通う子どもがいる従業員に特別な有給休暇を与えた企業を助成する制度を創設します。企業の取り組みを後押しするためです。正規、非正規を問わず、こうした休暇を使えば休業中も満額の賃金がもらえます。

 Q 必ず収入が補償されますか。

 A 特別な有給休暇制度を企業が設けることが前提です。国の助成金は日額上限8330円で、賃金が超過する場合は企業の持ち出しです。休暇制度は労働者と経営者が話し合って決めるため、企業が負担を嫌い、制度をつくらない可能性もあります。その場合は年次有給休暇の取得が考えられます。フリーランスなど、個人で業務委託を受けて働いている人が子どもの世話のために仕事を休んだ場合は、国から日額4100円がもらえます。

 Q 臨時休校と関係なく休む場合は。

 A 感染が疑われる子どもを世話する場合は臨時休校と同じ扱いです。一方、本人が感染した場合や感染が疑われる場合は、有給休暇や病気休暇を取得することになります。感染時は健康保険などに加入していれば要件次第で傷病手当金を受け取れます。企業が自主判断で感染疑いの従業員を休ませる場合は、賃金の60%以上を休業手当として支払う必要があります。感染症の影響で仕事が減ったフリーや自営業の人は、各都道府県の社会福祉協議会から融資を受けることができます。

【マスク不足】政府買い取り 転売禁止

 マスク不足の解消に、政府がようやく乗り出しました。

 Q 具体的な内容は。

 A 厚生労働省が、家庭用マスクの製造販売業者や輸入業者から約400万枚を買い取ります。国民生活安定緊急措置法に基づいた措置です。この法律は、国民の暮らしに欠かせない物資が品薄になったり価格が高騰して入手しにくくなったりした場合に、政府が価格や物資調達の調整で、さまざまな指示を出せるよう規定しています。

 Q 買い取ったマスクはどうなるのですか。

 A まずは感染者の割合が多い北海道中富良野町や、感染者の集団(クラスター)が発生した疑いのある北見市に優先的に配布します。1世帯当たり約40枚とする方針です。

 Q 北海道以外では入手しにくいままですか。

 A 厚労省は今後、計約4000万枚まで買い取りを拡大する方針で、徐々に解消することが期待されます。再利用可能な布製マスク約2000万枚も政府が一括購入し、高齢者施設や障害者施設、保育所などに行き渡らせるとしています。

 Q インターネットオークションなどでは高値で転売されています。

 A 政府は3月中にも同じ法律を適用し、転売行為を禁止する方針です。違反すれば個人や業者を問わず、懲役5年、罰金300万円を上限に刑事罰が科せられる方向です。

【高齢者施設】寝たきり利用者 面会禁止

 高齢者が利用する介護施設でも集団感染を防ぐ対策を進めています。

 Q 高齢者は感染弱者とも言われていますね。

 A 高齢者や、糖尿病、心不全、呼吸器疾患といった持病がある人は、重症化や死亡の危険性が高いとされます。介護施設では、これまでもインフルエンザやノロウイルスの集団感染が発生しており、防止策がより必要とされます。

 Q 相談の目安は。

 A 国は一般に、<1>風邪の症状や37・5度以上の発熱が4日以上続く<2>強いだるさや息苦しさがある―を目安に、各地の「帰国者・接触者相談センター」に相談するよう求めていますが、高齢者は、発熱期間を「2日以上」に短縮しています。

 Q 介護施設での具体的な対応は。

 A 寝たきりなど状態が重い高齢者が24時間体制で介助を受けられる特別養護老人ホームといった入所施設では、家族らの面会を原則禁止しました。みとりなどの緊急時は例外です。入所者に感染疑いがあれば個室に移すか、個室が足りない場合は同じ症状の人を同室にします。

 Q デイサービスもあります。

 A 通所施設では、送迎時に利用者の体温を測り、症状がある場合は利用を断ります。地域で感染が広がれば、都道府県などの判断で施設側に休業を求めることもできます。

【子育て支援】学童・シッターは補助拡大

 小学校の臨時休校に伴い、子育て世帯への支援策も打ち出されました。

 Q 具体的には。

 A 放課後児童クラブ(学童保育)は、働く親を考慮して国は原則開所を求め、午前中から開所しているところもあります。普段より利用児童が増えて過密状態になるのを防ぐため、小学校の空き教室を活用するよう国は呼び掛けています。人手不足も懸念されるため、学校の教員が特例的に「支援員」として学童で子どもたちを見守ることも可能としました。

 Q 午前中から預けるとお金がかかりますね。

 A 原則として追加費用は国が負担し、保護者へ請求しない方針です。午前中から子どもを預かる場合は1日当たり3万200円、クラスを増やす場合は1日当たり6万2千円を運営側へ補助します。ただ、国や自治体の支援を受けていない民間学童は対象外で保護者の負担となります。

 Q ベビーシッターを利用する場合は。

 A 内閣府の「ベビーシッター派遣事業」の割引額を3月限定で引き上げ、1世帯当たり月最大26万4千円とします。原則、対象は小学3年生までで、学校や保育所が休止した子どもに限ります。

 Q 障害のある子どもたちへの対応は。

 A 放課後や休日に通う「放課後等デイサービス」を原則開所し、可能な限り長時間受け入れるよう要請しました。学童と同様に、空き教室を利用することも通知しています。ただ、特別なケアが必要な子もいるため保護者や事業者には戸惑いが広がっています。

【ウイルス検査】「安心目的」は保険適用外

 新型コロナウイルス感染の有無を調べる検査が公的医療保険の適用対象となりました。

 Q 誰でも受けられるのですか。

 A 希望すれば検査を受けられるわけではなく、陰性の診断を受けて安心感を得る目的での診療は想定していません。

 Q では保険適用で何が変わりますか。

 A 今までの検査は医師が患者の感染を疑っても保健所が認めた場合に限定され、主に各地の地方衛生研究所で実施されていました。保健所が依頼を断るケースが問題化していましたが、今後は保健所を通さずに民間検査会社に委託して検査できるルートができ、件数増が期待されます。

 Q どうすれば検査を受けられるの。

 A 症状があれば、まずは保健所などにある「帰国者・接触者相談センター」に電話します。感染が疑われる人には感染防止策が整った「帰国者・接触者外来」などが紹介されます。混乱を避けるため病院名は公表されていません。また全ての病院で検査が受けられるわけではありません。

 Q その後は。

 A 接触者外来の医師が必要と判断すれば検体を採取し、病院内や委託先の検査会社での検査に回します。

 Q お金はかかるの。

 A 検査の費用は特例的に公費で補塡し、自己負担はありません。ただ、初診料や他の治療費は通常通りかかります。