徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 ワクチンで予防できる病気のことをVPDと呼びます。Vはワクチン、Pは予防できる、Dは病気の略です。ワクチンを接種すれば予防できるのにワクチンを受けずに病気に罹ってしまうことはとても残念です。子どもの健康を守るのにワクチンはとても大切な手段です。今月はVPDについてお話します。

 4月は新学期で、保育所や幼稚園、学校などで子どもたちが初めての環境に、これまでに出会ったことのない感染症に罹ることが多くなります。この中でワクチンを接種していれば罹らずに済む病気があります。これがVPDです。

 VPDにはヒブ、肺炎球菌、B型肝炎、ロタウィルス、百日咳、ジフテリア、破傷風、ポリオ、結核、日本脳炎、麻疹、風疹、水痘、おたふくかぜ、A型肝炎、髄膜炎菌性髄膜炎、HPVなどがあります。これが現在日本で予防接種を受けることが出来る病気です。しかし集団生活で感染する多くの病気には予防接種がありません。

 予防接種については副反応が心配で接種を遅らせることや、自然に罹ったほうが良いと云う意見に出会うことがあります。しかし自然に感染すると重症化や後遺症の危険性を伴い、さらに治療法がないことや治療法があっても非常に困難である場合があります。

 予防接種がある病気は予防できます。予防接種は原因菌や原因ウィルスを弱毒化し、また不活化してあります。自然に罹った場合よりも確実に安全に過ごすことが出来ます。ワクチンの種類によって副反応や免疫の出来方には違いがあります。ワクチンは、正しい知識を持って接種したいものです。