22日に閉店する谷食堂の谷さん(左)と米澤さん=つるぎ町一宇樫地

 県指定天然記念物の滝つぼ「土釜」の近くにあり、「土釜のうどん」の愛称で長年親しまれたつるぎ町一宇樫地の「谷食堂」が22日、100年以上の歴史に幕を下ろす。4代目の谷秀廣さん(75)が高齢のため店を続けるのが難しくなり、閉店を決めた。

 明治時代に谷さんの曽祖父が、剣山の登山客のために民宿と食堂を開いたのが始まり。約110年前に、谷さんの両親が貞光川を挟んで対岸にある現在の場所に移した。食堂は鉱山の労働者や地元住民でにぎわい、メニューは約70年前から変えていないという。

 谷さんが店に立つようになったのは45年前から。父親が病気で体調を崩したため、勤めていた和歌山の鉄工所を辞めて帰県し、レシピを受け継いだ。

 12年前に母親が亡くなり、現在は一緒に働く米澤小百合さん(37)=美馬市=と2人で店を切り盛りしている。谷さんが高齢になり採算も合わないため、昨年7月に2人で話し合い、店を閉めることにした。

 手打ちのうどん(350円)とそば(500円)は、昆布といり粉で取っただしが特徴。地元住民が手作りした豆腐やこんにゃくのおでん(各80円)も人気が高い。閉店を控えた店内は、慣れ親しんだ味を求める常連客でにぎわっている。

 谷さんと米澤さんは「『おいしい』と喜んでくれるのがうれしい。最後の一杯まで頑張って作りたい」と話している。