九州北部に記録的な豪雨をもたらしたのは、積乱雲が次々と発生して連なる「線状降水帯」が形成されたためだった。線状降水帯は日本のほぼ全域で観測されるが、徳島地方気象台によると、県内では特に県南の沿岸部で発生しやすい。

 気象台によると、線状降水帯は発達した積乱雲が帯状に連なったもので、複数の方向から吹く暖かく湿った風が一方向に集中した際に起こりやすい。梅雨前線の南側で形成されやすく、前線が停滞している場合には、降水帯も発生した場所にとどまり豪雨の原因となる。6~9月に全国各地で発生し梅雨時期に最も多く観測される。

 県内では海陽町から阿南市にかけての沿岸部で発生しやすい。低気圧が四国南岸を西から東に通過する際に、南から吹く暖かく湿った風が四国山地の方向に集中し、上昇気流となって次々と積乱雲ができるためだ。

 線状降水帯による豪雨は県内にも多くの爪痕を残している。

 主な事例として、2004年8月1日には高知県西部に上陸した台風10号が北上中、南からの風が台風に向かって吹き込み、高知県東洋町から那賀町にかけて線状降水帯が形成された。那賀町海川では、四国電力が管理する観測所の記録で日降水量(午前0時から24時間の雨量)が国内最高値の1317ミリに達した。同町では住宅が土石流に流され、70代の夫婦が亡くなった。

 08年6月29日には県南沿岸部に線状降水帯が発生し、午前3時40分までの1時間に美波町で観測史上2位となる96ミリの猛烈な雨が降った=図参照。同町では地滑りによる住宅の全壊被害などが出た。

 気象台は線状降水帯が停滞した場合には、自治体からの避難情報に気を配るなど安全確保に努めてほしいと呼び掛けている。