徳島県三好市で130年以上続く老舗酒蔵・三芳菊酒造が、疫病よけに御利益があるとされる妖怪「アマビエ」のイラストをラベルに使った純米酒を発売した。新型コロナウイルスの感染拡大で三芳菊酒造と取引がある都内の飲食店なども利用客が激減して深刻な影響を受けており、「コロナ退散」の効果を期待されてSNS上などで話題のアマビエの力を疫病に加え「不況退散」にもつなげたい考えだ。

 新商品「疫病退散 アマビエのお酒」は、ラベルに阿南市出身のイラストレーター亀川苑花(そのか)さんのイラストを使用。かわいらしいアマビエ2体が会話する様子を「疫病退散!!」「コロナに負けるな!!」という吹き出しと共に描いている。2月上旬に仕込みを行い、3月12日に搾った県産山田錦の精米60%特別純米酒(火入れ)で、豊かな味わいながらすっきりとした後味に仕上がっている。

 

 アマビエは、江戸時代に熊本県の海から現れたとされる体の半分が人間、半分が魚の姿をしている妖怪だ。疫病の流行を予言した上で「私の姿を描いた絵を人々に見せろ」と言い残したと伝えられている。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて一躍脚光を浴び、SNS上ではプロの漫画家から一般の利用者まで、さまざまな人が独自のアマビエのイラストを投稿するなどして大きな話題を集めている。

 県内外の飲食店では新型コロナウイルスの影響で、例年なら送別会需要などでかき入れ時となるはずの3月の集客が激減しており、廃業の危機に直面している業者もいる。取引先のこうした窮状を耳にした三芳菊酒造社長で杜氏(とうじ)の馬宮亮一郎さんが、アマビエの絵を使った商品開発を思い立った。SNSなどで紹介したところ、早くも「購入したい」といった反響が多く寄せられているという。

 馬宮社長は「まだ大勢で集まれる状況ではないが、みんながお店や自宅でおいしいお酒や食べ物を楽しむことで景気が徐々に上向いてくれれば」と期待を込めた。「疫病退散 アマビエのお酒」は1800ミリリットル瓶2500円、720ミリリットル瓶1300円、180ミリリットルカップ400円(税抜き)。全国の特約店のほか、近く始める公式サイトの通信販売でも購入できる。問い合わせは三芳菊酒造 TEL 0883(72)0053