「鳴門グランドホテル海月」として7月1日にオープンする鳴門グランドホテル=鳴門市鳴門町土佐泊浦

 徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦の鳴門グランドホテルが、兵庫や徳島など5県で19のホテルや温浴施設を運営する海月館グループに入り、7月1日から「鳴門グランドホテル海月」に名称を変更する。かいげつ(兵庫県洲本市)が鳴門グランドホテルの運営会社・四国楽帆(らくはん)(鳴門市)を買収した。施設のリニューアルやサービスの充実を図り、稼働率向上を目指す。

 かいげつは、老舗旅館「海月館」をはじめ淡路島に13施設、和歌山、島根、高知に各1施設がある。経営に行き詰まった企業を買収するなどして事業を広げており、徳島県内では鳴門海月と鯛丸海月(ともに鳴門市鳴門町)を経営し、サンリバー大歩危(三好市山城町)の指定管理を市から請け負う。

 鳴門グランドホテルは入り口周辺を改装するほか、3階の洋宴会場を日本料亭風にして地元食材をふんだんに使った朝・昼・夕食バイキングを始める。シェフが客の目の前で調理するライブキッチンも取り入れる。ホテルは営業を続けながら改装を進め、客室数は54室のまま変えない。

 近くの亀浦漁港(八木の鼻)に水上バイクの保管庫を整備し、ホテル前でマリンスポーツが楽しめるようにする計画で、地元の漁協と協議を進めている。ホテル横には海の家を設ける。鳴門海月、鯛丸海月とを結ぶシャトルバスも運行し、鳴門海峡を望む各施設の温泉巡りを楽しんでもらう。

 鳴門グランドホテルは運営会社の倒産で2015年2月に閉鎖。四国楽帆が建物を買収し同年7月から運営してきたが、経営が行き詰まっていた。3月12日付で、かいげつが四国楽帆の全株式を取得した。取得額は明らかにしていない。

 かいげつは、周辺に大塚国際美術館や渦の道など年間数十万人が訪れる観光施設があるため、十分な需要が見込めるとみている。グループの他の施設とも連携しながら、現在は20%に満たない稼働率を90%以上まで引き上げたい考えだ。

 齋藤敦夫社長は「鳴門市に3施設を持つスケールメリットを生かし、地域の活性化につなげたい。地元採用もしていく」と話している。