アナログ機器の修理や技術者の育成に取り組む「徳島エジソン工房」のメンバー=徳島市福島1の市立木工会館

 徳島県内の元電気技術者らが、真空管ラジオやアンプといったアナログ機器の再生とその担い手を育成するグループ「徳島エジソン工房」を立ち上げた。メーカーの保証期間を過ぎて修理を受けられずに捨てられる製品を守り、アナログ文化を継承していく。活動の第1弾として17日、故障した1964年製のジュークボックスの修理を徳島市立木工会館で実演し、レコードの豊かな音域を再現する。

 徳島エジソン工房は、30~70代の元会社員や電子部品販売店経営者ら12人で、米国の発明王エジソンが生まれた2月11日に発足した。メンバーのほとんどがアナログ機器の修理や産業用機械などの設計を手掛けた経験があり、電子回路や部品に関する豊富な知識を持っている。

 リーダーを務めるのは徳島市川内町加賀須野の古物商近藤俊興さん(76)。修理を受けられなくなった製品が無造作に捨てられる現状に心を痛め、グループの結成を思い立った。

 活動の柱の一つは、アナログ機器の再生。古いオーディオなどの修理を有償で請け負い、名機の保存に努める。もう一つの柱は技術者の育成で、今夏、中学生対象のワークショップを開き、真空管ラジオ作りを手ほどきする。デジタル機器しか知らない世代にアナログ機器の仕組みを伝え、ものづくりへの関心を高めてもらいたい考え。

 近藤さんは「昔の製品でも部品さえあれば直せるので、捨てる前に声を掛けてほしい。活動に協力してくれるメンバーも募っている」と話している。

 木工会館での修理の実演は、17日午前10時からと午後2時からの2回。問い合わせは事務局<電088(622)8840>。