吉野川市美郷で6次産業化に取り組む事業所「あぐり工房美郷」が、遊休地の有効活用としてヒマワリを使った特産品の開発に取り組んでいる。種から食物油を搾って商品化を目指すとともに、油を使った加工品作りを検討する。ヒマワリ見物の名所にもしたい考えで、現在は見頃を迎えた大輪が訪れた人たちを楽しませている。
代表の後藤田博之さん(58)=美郷古土地=が、北海道で「ヒマワリ油」の産業化が進んでいることに着目。育てやすい上、季節の花が乏しい夏の田畑を彩ることもできるため、栽培と商品化に取り組むことにした。
昨年は30アールの畑で初めて育て、100キロほどの種から一定量の油を作ることに成功した。今年は地元の4軒に協力を呼び掛けて遊休地を借り、1・5ヘクタールに増やした。種は約1トン採れる見込み。
ヒマワリの油は芳醇(ほうじゅん)な香りが特徴だ。菓子や揚げ物などに使えるよう、秋をめどに試作品を開発する予定。油のほか、使用する素材を全て美郷産にこだわった加工品にも挑戦する。
ヒマワリは県道二宮山川線沿いに点在する遊休地に植えており、6月中旬から花を咲かせ始めた。観光客らが車を止めて写真撮影をする姿が見られ、8月下旬まで楽しめそうだ。
地元の養蜂家も連携しており、後藤田さんは「花が少ない夏場にハチが蜜を集めやすい環境にもなった。単に食用油を採るだけでなく、農地保全や観光振興など一石三鳥、四鳥の取り組みになれば」と期待している。