堆積した泥を倉庫外へかき出す徳島県職員ら=福岡県朝倉市菱野地区

 九州北部の豪雨から1週間となった12日、被災地支援のために派遣された徳島県職員6人は、福岡県朝倉市菱野地区で、住宅の庭や倉庫に流れ込んだ泥を取り除く作業に当たった。かき出してもかき出しても泥はなくならず、被害の深刻さを物語る。「人ごとではない。徳島でもいつ起こるか分からない」。職員の1人はこうつぶやき、黙々と作業を続けた。

 県から派遣されたのは、危機管理政策課の島田敬祐課長補佐(47)を代表に、県土整備部の技術職員で構成する「県緊急災害対策派遣チーム(TEC―徳島)」の3人と森林整備課職員、保健師の6人。朝倉市の災害ボランティアセンターであっせんを受け、菱野地区で1人暮らしをする足立和美さん(63)方の平屋の倉庫(約50平方メートル)や庭にたまった泥の除去を行った。

 足立さんの自宅は浸水被害を受けなかったものの、隣接する倉庫内には高さ5センチほどの泥が床一面に堆積し、たんすなどの家財道具が埋もれていた。

 県職員と一般ボランティアを合わせた計22人で午後1時すぎに作業を開始。泥をスコップで倉庫の入り口付近までかき出し、リヤカーに積んで外に運び出す作業を約3時間繰り返した。

 30度を超す炎天下。サウナのような倉庫内では全身から滝のように汗が噴き出る。排出した泥は見る間に積み上がったが、除去できたのは半分ほどだった。TEC―徳島の谷本悦久県土整備政策課長(55)は「多くの民家で同様の被害が出ていると思うとやりきれない。終わりの見えない作業だ」と肩を落とした。

 作業終了後、足立さんは県職員ら一人一人にねぎらいの言葉を掛けた。「他に被害が出ている家もあるので今後はボランティアにはお願いせず、自分で何とかやってみます」と語った。

 朝倉市菱野地区(91世帯、264人)は水田や果樹園が広がる農村地帯。市などによると、5日の豪雨では北側の山間部からの土石流が用排水路をふさぎ、地区の平野部で雨水がたまった。雨水は道路を川に変え、住居は最大で高さ50センチほど水に漬かった。水が引いた後、家々の敷地や田畑には大量の泥が残されている。

 県職員6人は13日以降は二手に分かれる。TEC―徳島の3人は市内の災害調査などを行い15日に帰県。残りの3人はボランティアセンターのあっせんを受けて再び民家の泥の除去などを行い14日に帰県する。