子どもの事故のうち頭部外傷で緊急手術が必要なものや入院治療が必要なものは比較的少
ないものですが、重症の頭部外傷では生命に関わることや重篤な神経系の後遺症を残すこと
があります。今月は子どもの事故、頭部外傷について考えてみました。

 子どもの頭部外傷は乳幼児では転倒や転落によるものが多く、年長児になると交通事故が
多くなります。さらに学校やクラブ活動でのスポーツによる外傷も多くなります。

 乳幼児が転倒しやすいのは大人に比べて頭の割合が大きく重心が高く不安定で、さらに運
動能力も未発達のためです。また何にでも興味を持って身を乗り出すのに周囲の状況を判断
する能力も未発達ですから、危険を回避する能力に欠けているためです。

 頭部を打撲した時に脳に受ける障害の程度は衝突や転落によって受ける物理的な力の強
さに比例します。脳に強い衝撃が加われば加わるほど障害の程度は大きくなります。

 脳は血液や髄液と共に頭蓋骨や硬膜などの硬い組織に囲まれて存在しています。頭蓋腔
内に出血などの余分な容積の物があると脳を圧迫して頭蓋内圧亢進症状が出現します。子の
症状には頭痛、悪心、嘔吐、意識障害、けいれんなどがあります。乳児では大泉門が開いて
いますから少しの圧は逃げますが、限度を超えると頭蓋内圧亢進症状が現れます。乳幼児で
は頭痛や意識状態を明確に表現することが出来ません。家族から見て、いつもと様子が違う
と感じる場合にはさらに詳しい検査と厳密な経過観察が必要となります。