徳島県教育長になった榊浩一さん

 就任初日は異例の幕開けとなった。初仕事の辞令交付式が新型コロナウイルス感染予防のため中止。新任教職員252人を直接激励できなかったことを残念がり、「こんなに教育現場が混乱したのは経験がない。今後も子どもの命を第一に考え、一番いい方法を模索していきたい」と改めて重責をかみしめる。

 長年障害児教育に携わった。関心を持ったのは徳島大在学中の養護学校での実習。生徒一人一人と密に向き合う教員の姿に感銘を受け、「自分もそういう教育をしたい」と鳴門教育大大学院で専門知識を学んだ。

 「どんな子もじっくり寄り添えば必ず伸びる」と信じる。鴨島養護学校(現鴨島支援学校)に勤務した十数年前、保育所に行きたがらない地元の子どもの相談を受け、足を運んだ。時間をかけて気持ちを聞き、環境を整えると再び通うように。約3年前、芸術分野で大臣賞を受賞したと知り「立派に成長してくれて、本当にうれしかった」。

 2012年度には特別支援学校高等部に通う生徒を対象にした県独自の技能検定を創設し、学習意欲の向上や就労促進につなげた。

 本年度から新学習指導要領が全面実施され、主体的に論理的な思考を身に付ける教育が求められる。「個々の才能を伸ばす指導力が大事。障害児教育の現場で培った、きめ細やかさを生かしたい」と語る。

 息抜きは高校バレーボールが題材のアニメ「ハイキュー」をタブレット端末で見ること。未熟な選手が努力で困難を乗り越える青春物語に胸を熱くする。鳴門市大麻町の自宅で妻と2人暮らし。56歳。