ベトナムのファミリーマートの店頭に並ぶ市岡製菓の「どら焼き」(同社提供)

ベトナムのファミリーマートの店頭に並ぶ市岡製菓の「どら焼き」(同社提供)

 市岡製菓(小松島市)がベトナムの工場で生産している菓子「どら焼き」の販売が好調だ。発売当初から目標を上回る売れ行きを見せ、1カ月余りで5万個を販売した。同社は「これほどの反響があるのは異例」としており、生産体制を見直して製造量を増やすほか、シリーズ展開を検討している。

 どら焼きは現地の若者をターゲットに、ファミリーマートと共同開発した。日本でなじみのあるあんこ入りのどら焼きとは違い、パンケーキ風のふんわりとした生地で、カスタードクリームを挟んだ。パッケージには人気キャラクター「ドラえもん」が描かれている。

 5月10日に、ベトナム国内に展開するファミリーマート全135店舗で発売。一日の売上目標を計1500個としていたが、初日に3千個が売れた。2日目に4千個、3日目に5千個と売り上げを伸ばした。原材料の確保が追い付かず、一時は生産を停止したほどだった。現在は一日1500個前後で安定しており、6月20日に累計5万個に到達した。

 現地法人市岡ベトナムの責任者は「ベトナムではドラえもんが人気。キャラクターが若者を引き付けて購買意欲を高めているのでは」と分析している。価格は日本円で1個70円と、現地の菓子としては「平均的か、やや高め」と言う。

 現在の生産体制では一日最大2700個の製造が可能。今後は市岡ベトナムのスタッフ育成や人員配置の見直しでさらに生産量を増やす。異なる種類のクリームを使った新商品を開発し、シリーズ展開することも検討している。

 市岡通裕社長は「市岡ベトナムは15年8月の法人設立以来、手探りでニーズの把握に努めてきたが、光明が見えてきた。新製品にも取り組み、次のステップに進みたい」と話した。