歴史を感じさせる境目峠の石柱。石の積み方が県境で分かれている(右が徳島県、左が愛媛県)=三好市池田町佐野

徳島、愛媛の両県境に位置する峠の名称は分かりやすい。場所の意味をそのまま表す「境目峠」(381㍍)。

安易に名付けられた印象を受けるが、歴史は古い。愛媛県川滝村(現四国中央市)の村史(1951年発行)には、奈良時代の荘園の境界線に由来するとある。少なくとも千年以上、人々に親しまれてきたようだ。

訪ねたのは、旧国道192号(現三好市道)。江戸時代に整備された旧伊予街道の


一部で、72年に峠の直下を掘り抜いた境目トンネル(全長855㍍)が完成するまで、交通の要衝として人や車が往来していた場所だ。

県境の峠には「従是(これより)東徳島縣三好郡」と彫り込まれた石の道しるべがあり、東側が徳島県であることを示している。斜面の石の積み方が、県境でくっきり分かれているのが面白い。


旧国道を通る車は、ほとんど見られない。トンネル内で一瞬にして県境を通過する時代。幾多の人々が超えた峠は、静かに時間だけが流れていた。近くに古い遍路道の標識が残っており、お遍路さんの往来があったことをうかがわせた。かつて周辺には旅館や食堂などもあったそうだ。