上勝町のまちづくりにも関わった熊本学園大講師の藤本延啓(のぶひろ)さんは熊本地震の被災者であり、支援者である
2度の大地震で熊本県西原村の自宅が損壊。家族を妻の古里の上勝へ送り届けた後、村へ戻り、ボランティアセンターの中心メンバーとして活動した。現在は、その発展的な組織「reborn(リボーン=再生)ネットワーク」で代表を務める
地震で村の家屋の4割、千棟以上が全半壊した。2年がたち、道路などのインフラ整備は進んだものの、目立ってきたのは被災者の間の格差。比較的早く立ち直れた人がいる一方、自宅も仕事も失い、なかなか元の暮らしに戻れない人がいる
村は熊本市のベッドタウンでもあり、新興住宅地の若い世代と昔ながらの集落に住む高齢者とでは、意識の差は大きい。そこにはさまざまな希望があり、要望もある
藤本さんらは地元の歴史の聞き取り調査から始めた。それまで地域が大切にしてきた文化をしっかりと見定めて復興の中心軸に据える。出来合いのメニューを当てはめるだけでは、住民は幸せになれないとの考えからだ
村の再建は緒に就いたばかり。震災への対応は、こうあるべきだといった固定観念が通用しない、と藤本さんは言う。「どんどん変わっていかないと、次々現れる課題には対処できない」。この2年の実感である。