新型コロナウイルス感染拡大を受け、徳島県内の自治体などは乳幼児の離乳食講座や集団健診を中止や延期している。いずれも子どもの発育や食に関する悩みを相談できる貴重な機会だけに、再開の見通しが立たない状況で不安を募らせる父母は少なくない。こうした中、講座や健診にインターネットなどを活用する自治体の取り組みが、感染防止に効果があるとして注目を集めている。
      コロナ禍で離乳食や検診に悩みを抱える保護者も多い

 徳島市は、全国的な感染拡大を受けて3月から離乳食講座を中止した。昨年度は2月まで毎月1回開き、11回で計435人が参加した。市の担当者は「感染防止の決め手がなく、対応を決めかねている。当面は個別相談で補うしかない」と頭を抱える。                  

 突然の中止に、保護者の間には戸惑いが広がっている。徳島市で共働きしながら10カ月の長女を育てる20代女性もその一人だ。長女が離乳食に移行する3月に受講しようと考えていたが「どうしたらいいのか途方に暮れました」。女性は自らインターネットで離乳食について調べる中で、動画サイトにさまざまなレシピが投稿されていることを知って利用し始めた。ただ、栄養士などの資格を持たない投稿者も多く「アレルギーへの配慮などは本当に十分なのか」と不安を隠せない。
 

 同じような悩みを抱える父母が多い中、注目を集めているのが石川県野々市市の取り組みだ。管理栄養士と保健師が監修を務め、栄養バランスやアレルギーに配慮した離乳食のレシピを、3月12日から動画サイトで公開し始めたのだ。野々市市でも感染拡大を受けて2月から離乳食講座の規模縮小や中止の措置を講じてきたが、当初からレシピについての問い合わせが寄せられ始めた。市の担当者は「転入者などで相談相手が少ない父母もいる。何とか受け皿を作れないかと考え、動画配信に行き着いた」と説明する。
 

 動画は生後7か月と10か月向けで、これまでに各1本(1本3~5分)を公開。最初の「キャベツと人参の煮物」は再生が270回を超えている。過去の講座の参加者は1回平均30人前後。単純比較はできないものの、多くのニーズがあったことが分かる。野々市市では今のところ、動画配信は緊急避難的な対応という位置付けだ。ただ、今後の感染拡大の状況によっては「動画の拡充やビデオ通話を使ったサービスなども検討する必要がある」として情勢を注視している。
 

 集団健診の実施方法に悩みを抱える自治体も多い。鳴門市は3月から中断していた4か月、9か月、1歳6か月、3歳の健診を「県内の感染状況が急増しない」などの条件付きで4月16日から再開する方針を固めた。子どもの異常などを早期に把握するための健診を大幅に遅らせることはできないという判断に基づく対応だ。「具体案は今後決める」(担当課)が、感染を防ぐため実施人数を従来の半数以下に当たる30~40人程度に制限し、会場の換気や消毒を徹底したうえで、実施につなげたい考えだ。
 

 それでも、保護者やスタッフを含めれば100人近い人数が1カ所に集まる。市の担当者は「人数を絞りすぎれば健診月に受けられないケースも出てくる」と課題を挙げ「感染予防には最大限配慮したい」と強調する。                                  

 一方で、従来から受診者の密集を避ける手法を採用しており、コロナ禍の中でも健診を続ける自治体もある。横浜市戸塚区もそうした自治体の一つだ。区では診療予約システム「アイチケット」を活用。健診会場の受付で渡されるQRコードをスマートフォンで読み取ると呼び出し番号が表示され、順番になるまで自分の車などで待機してもらう。区でも感染拡大を受けて一時的に集団健診を見送っていたが、この手法では感染の危険性が低いと判断し、3月16日から再開。4月7日の取材時点でも実施していた。                                

 区によると、アイチケットを使ったシステムは約3年前に待ち時間解消のために導入した。担当者は「結果的に密集空間を作らずに実施できており、健診を続けられるため受診者からも好評を得ている」と話す。
 

 妊娠中の女性や乳児が新型コロナウイルスに感染して重症化したという報告もあり、厚労省は妊娠中の女性に対する感染防止の配慮を要請している。各自治体には、子どもや父母が安心して講座や検診を受けられるよう万全な対策が求められている。