三代目の亀井亮典さん(右)と姉の優璃さん

「祖父母の生き方を受け継ぎたかった」上板町産のもち麦を使ったうどんを製造・販売

 祖父母宅に隣接する製麺所で、上板町特産のもち麦・ダイシモチを使ったうどんを打つ、三代目の亀井亮典さん。祖父・敬之さん(83)の仕事を継いだのは2年前のことだ。敬之さんは製麺所を営む傍ら、妻の美代子さん(81)とともに、約20年間にわたって上板日曜市の一角でうどん屋さんを開いてきたが、高齢のために体調を崩し、通院や介護が必要になった。大分県の大学に進学していた亮典さんは、そんな祖父母を心配して中退。「大のおじいちゃん子なんでね」と姉の優璃さんが優しい眼差しを向ける。地元に戻った亮典さんは、公務員の両親に代わって祖父母に付き添った。

上板日曜市に出店していた頃の、先代・亀井敬之さんと美代子さん夫妻

 「帰ってきたすぐは、午前中に祖父を病院へ連れていって、その帰りに入院していた祖母のお見舞いに寄っていました。祖父母と長い時間過ごすうちに、二人が続けてきた仕事を守っていきたいと思うようになりました」と亮典さん。「建物とか機械とか目に見えるものだけでなくて、目に見えないものも継承したい。ここで続けてきた意味が大事だと思っています」と熱い。

もち麦うどん(500円)。持ち帰り用の麺も販売

 一方、優璃さんは茨城県の大学に進学し、その後就職していたが、「亮典が大学を辞めて製麺所を継ぐと言うんでね、仕事を辞めて帰ってきましたよ」と思い切りがいい。「祖父母はこの土地やご先祖、ご近所さんとのお付き合いを大事にしているんで。そういう生き方を含めて受け継ぎたいと思っています」。

打ちたてのもち麦うどんを手にする亮典さん

 代替わりを機に、製麺所の内装を一新。製麺機や精麦機は祖父が使っていたものを大切に使用している。蕎麦のような見た目だが、モチッとした食感が特徴のもち麦うどん。敬之さんの麺を打つ姿を見て覚えた。「祖父は生地の水分量を感覚で決める人だったんで、生地に触れてその感触で覚えました」と笑顔を見せる。今は何か新しい商品を開発することに力を注ぐよりも、50年以上愛されているこの味を守り、多くの人にもち麦うどんの存在を知ってもらいたいと考えている。ピンク色のキッチンカーを導入し、週末はイベントに出店。イベントの予定がない土曜・日曜は製麺所横に構えた飲食スペースでもち麦うどんを提供する。体調が良ければ祖母の美代子さんも孫たちを手伝っている。

 「この製麺所を拠点に人が集まるようなイベントやワークショップを企画していきたい。将来は地元の若い人に働きたいと憧れてもらえるような会社にすることが目標です」。

住所=上板町神宅小柿7-3
営業時間=10時〜18時(留守の場合あり。麺の購入は要事前連絡)
うどんの提供は土日の11:00〜15:00(イベント出店時は休) 定休日=月曜・火曜休、イベント出店時は土日休
駐車場=あり
問い合わせ=088-635-8455