米国が英国、フランスと共に、シリアへの軍事攻撃に踏み切った。

 米軍は、化学兵器関連施設を狙って巡航ミサイルのトマホークを発射し、英空軍も攻撃機から中部ホムス県の西にある軍施設をミサイルで攻撃した。

 トランプ米大統領は国民向け演説で、シリアのアサド政権が化学兵器を使ったと断定し「邪悪で卑劣な攻撃。怪物による犯罪だ」と非難した。

 トランプ氏が、必要があれば武力介入もためらわない方針を明確にしたのは、緊張状態にある北朝鮮やイランとの関係も見据えたものだろう。

 アサド政権は7日、反体制派が抵抗を続ける首都ダマスカス近郊の東グータ地区ドゥーマを空爆。民間団体によれば、女性や子どもを含む40人以上が、化学兵器によるとみられる症状で窒息死した。

 使用が事実だとすれば、非人道的な蛮行であり、断じて許されない。

 米国は「塩素ガスが使われたのは、かなり確信がある。サリンが使われた可能性も排除していない」と述べた。

 一方、アサド政権や後ろ盾のロシアは、化学兵器の使用情報は「でっち上げだ」と主張している。

 事実関係の究明を急がなければならない。

 気掛かりなのは、米ロ関係の悪化である。ロシアのプーチン大統領は、米国などのシリア攻撃について「国連憲章や国際法に違反した行動だ」と批判した。

 国連のグテレス事務総長は声明を発表し、米英仏とロシアなど安全保障理事会の理事国に対し「国際平和と安全の維持」という安保理の責任を果たすよう訴えた。

 シリア内戦の解決に大きな役割を担う米ロをはじめ、国際社会が協力して、内戦の終結に道筋をつけなければならない。求められるのは平和的解決である。

 アサド政権の化学兵器使用に対する米国の武力行使はこれで2度目だ。

 昨年4月には、政権が猛毒神経ガスのサリンを使用したとして米国は、化学兵器を保管していたとされる中部ホムス県の空軍基地をミサイル攻撃した。

 だが、その後も化学兵器を使ったとみられる政権側の攻撃が続いていた。米国は、アサド政権が内戦下で化学兵器を少なくとも50回使用したとの推計を明らかにした。

 市民が化学兵器によって恒常的に命の危険にさらされている状況は看過できない。

 ただ、アサド政権はロシアなどの後押しを受け、軍事的な優位を確立しており、米国の懲罰的な攻撃が与える影響は限定的とみられる。

 多数の市民が犠牲となる化学兵器を使うような戦闘がやむ保証はない。

 今後の成り行き次第では、米軍は追加攻撃も辞さない構えを見せている。

 アサド大統領は化学兵器を使っても得るものがないことを、十分に認識すべきだ。