デフリンピックにサッカー日本代表として出場する西選手=姫路市

 7月18~30日にトルコで開かれる聴覚障害者の国際スポーツ大会「デフリンピック」に、陸上女子ハンマー投げの村尾茉優(まゆ)選手(21)=阿波市、四国大学4年=とサッカー男子に西大輔選手(18)=徳島市出身、JFLヴェルスパ大分=が初出場する。ともに初めての国際舞台。お世話になった人たちへの感謝の気持ちを込め、メダル獲得を目指す。

 西選手は、今季から日本フットボールリーグ(JFL)のヴェルスパ大分でプレーしている。生まれつきの難聴だが、チームメートや周囲を小まめに観察することでカバーし、聴覚障害者で初のJFL選手となった。正確なキックやドリブル突破を武器に攻撃的なポジションを担い、プロを目指して奮闘中だ。

 サッカーを始めたのは3歳の時。小学生から本格的に取り組み、周囲から認められるとどんどんのめり込み、実力を伸ばした。

 中学時代は徳島ヴォルティスのジュニアユースに入り、高校は名門・徳島商に進んだ。3年時には10番を背負い、全国高校選手権徳島県予選で3位。中学、高校では県の優秀選手にも選ばれた。プロ選手という目標をかなえるため、高校卒業後はJリーグに最も近いJFLでのプレーを選んだ。

 現在はサッカーと仕事を両立する日々。午前4時半に起き、6時から午後2時までカメラの部品工場で働く。午後3時から3時間練習し帰宅。1人暮らしのため炊事、洗濯をこなす。自由な時間は少ないが、「自分が選んだ道。頑張らないといけない」ときっぱり。「プロになって両親を楽にさせてあげたい」とも語る。

 JFLでは開幕戦でベンチ入りしたものの、公式戦への出場はまだない。技術やフィジカル面で差は感じていないが、守りや連携プレーを課題に挙げる。周囲の声が聞こえないため、味方が求める動きとイメージが合わず、うまくいかないことがある。「周りを見て情報を集めて判断しなければいけない」と、練習時から味方の特徴をつかんだり、試合では周囲の動きを今まで以上に見るように努めている。

 ヴェルスパ大分は、現在、徳島ヴォルティスで主力として活躍する島屋八徳選手(28)が2012年から2年間在籍したチーム(当時のチーム名はHOYO大分)。現在のチームメートにはJリーグ経験者もいる。日々レベルアップに取り組んでいて「まだまだ時間はかかるが、1年でも早くプロになれるように頑張りたい」と、目標をしっかり見据えている。

■貴重な経験を無駄にはしない
 
 デフリンピックの日本代表には3月の選考合宿を経て選ばれた。初めて出場する国際大会。日の丸が付いたユニホームに袖を通し「大きなチャンスを与えてくれた。無駄にはしない」と闘志をみなぎらせる。

 代表チームでは、選手間のコミュニケーションに手話が用いられることもある。西選手は幼稚園以来、手話は学んでいないが、「幼い頃の記憶が残っている」と、相手の手話は理解できる。それ以外は、アイコンタクトや相手の口の動きから判断する口話で意思疎通を図る。チームメートに対しては「みんなうまくなりたいという意識が強い」と刺激を受けている様子。3回の合宿でコミュニケーションが図れ、イメージの共有もできてきたと手応えを感じている。

 代表メンバーでは最年少ながら、戦っているリーグは最上位のJFL。左サイドやFWでの活躍が期待されている。予選リーグの相手は強豪のウクライナやアルゼンチン、イタリアで、いずれも高さやパワーがあるが、スピードと技術で上回り、チームを勝利に導くため「多くの得点に絡みたい」と力を込める。

 小さい頃から義足の陸上選手や片腕の競泳選手ら障害者が頑張る姿をテレビでよく見た。「自分もいつか、障害を持った人に夢と希望を与えられる人になりたい」と思いを抱いてきた。その思いをデフリンピックの舞台で表現する。


 《聴覚障害者のサッカー》選手は試合では補聴器を外してプレーする。音が聞こえないため、主審が旗を持ち、合図を送る。副審と同様に持つ旗でファウルなどの合図を送る。プレー中に声での指示は伝わらないため、プレーが中断すると、選手が手話でプレーの確認をする場面も見られる。

*徳島県関係ではほかに吉野川市の天羽弘志選手(47)がビーチバレーに2大会連続で出場する。