高岡和仁さん(19・徳島市出身)が林業に就こうと決めたのは中学3年生のときだ。父・幸夫さんは、伐採した木を麓に運ぶためのワイヤロープを張る索道架設の達人。父に連れられ、幼い頃から山に行く機会が多かった。進路を考えているとき、那賀高校に森林クリエイト科ができると知って迷わず志願した。いつからか父親の仕事を手伝うことが目標になっていた。

「木が上手く倒れたとき、木を全部伐り出して、山が片づいたときに達成感がある」と高岡和仁さん


 高校に進学してすぐにチェーンソーの使い方を学び、林地実習を積んだ。下草刈りを行う刈払機や、高性能林業機械など、現場ですぐに役立つ資格を取得した。2019年3月に卒業し、那賀町仁宇に事務所を構える樫谷林業に就職。「ベテランも、20代の若い職人もいて恵まれた環境っす」と、先輩たちの横ではにかむ。

手前から樫谷林業の代表・樫谷誠一さん、小柏さん。左が高岡さん

 取材時の現場は、那賀町木頭西宇地区。民家の裏山の杉が育ち、日中でも暗くて寒いことからすべて伐採してほしいという依頼だ。高岡さんは杉を倒したい方向に切り込み(受け口)を作ると、その反対側からチェーンソーを入れスライドさせていく。ある程度まで進んだら矢と呼ばれる黄色いクサビを差し込み、手斧(ちょうな)で叩く。すると杉はベリベリベリと音を立て、狙った方向にゆっくりと倒れていく。「チェーンソーで一気に伐ってしまわんよう、受け口の手前でちょっとだけ残すんやけど、ほの加減が難しい。伐りすぎたら不意に倒れる危険があるんよ」。

 伐採が終われば、ワイヤロープで木を吊るして土場(木材の集積場所)に集め、プロセッサーで約4mに造材してトラックで運び出す。まだまだ大仕事が残っている。