27年後といえば、そう遠くない。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、徳島県の人口は20万人余り減って53万5千人になるという。鳴門、小松島、阿南、吉野川の各市が一挙に消えるに等しい

 のんびり暮らせていい、人口減は怖くない、と語る識者がいる。だが15~64歳の生産年齢人口が著しく減り、高齢化率が上昇、65歳以上が40%を超すとあれば、そうも楽観的になれない

 働く人が減る。働く人が減れば消費が減退する。消費が減退すれば商売がやっていかれなくなる。ショッピングモールは撤退し、地域の中核店も消え…。といった荒涼とした風景を想像してしまう。影響はそれにとどまらない

 2045年には、県民の4人に1人が75歳以上になる。いくら生涯現役といえど、無理が利かなくなる年齢である。若者のか細い肩に乗っかるのは、該当者となる当方も気が引ける。高齢者を大事にしてもらいたいものの、かなうかどうか

 確実に訪れる未来である。ならばどうする。やむなく甘受する、移民に頼るという手もあるが、その前に

 根本的には出生率を上げるほかない。効果が表れるまで時間がかかる問題でもある。子どもを産み育てやすい社会にするため、国や自治体、企業はもっとコストをかけるべきだろう。先細りに抗する国家百年の計。今やらなくてどうする。