今夏の阿波踊りが中止になったことを明らかにする内藤市長=徳島市役所

 徳島市の阿波踊りを主催する阿波おどり実行委員会は21日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、8月12~15日に予定していた今夏の阿波踊りの中止を決めた。政府の緊急事態宣言が全国に広がり、各地でイベントの中止が相次いでいる上、市内で初めての感染者が確認されたことで、今月下旬としていた方針決定を前倒しした。この日、内藤佐和子市長が実行委に提案し、全会一致で了承された。同市の阿波踊りが4日間全て中止になるのは戦後初めて。

 内藤市長は市役所で記者会見し、「400年以上の歴史がある阿波踊りの中止は非常に残念だが、感染者が急増する恐れもあり、市民や観光客の安全を考慮した。実行委としても苦渋の決断だった」と述べた。実行委員だった平山元第1副市長が20日付で退職したことに伴い、内藤市長がその日のうちに後任の委員に就任。21日午後、他の委員5人に書面で中止を提案した。運営実務を担うキョードー東京(東京)など3社の共同事業体の了承も得た。

 これに先立ち、実行委事務局は9~17日、実行委の諮問機関・阿波おどり運営協議会の委員25人に、開催の可否について意向調査を実施。6割に当たる15人が中止を求めた。開催・延期は4人で、残り6人は「判断しかねる」とした。中止の意見が多数を占めたことも判断材料となった。

 内藤市長は「伝統芸能が衰退することがないようサポートしたい」と強調し、感染の終息状況を見ながら、代替イベントの開催なども実行委で検討する考えを示した。空席となっている実行委員長への就任は「今後、実行委で議論し、できることならやりたい」と答えた。

 共同事業体が2月3~27日に受け付けた団体客向けチケットの申し込みは、1万6075枚(仮予約含む)に上る。入金済みの人には払い戻し申請書を郵送する。申請方法は実行委のホームページに掲載している。

 関係者談話

 ぜひ来年度に期待を 阿波おどり実行委員会の藤川修誌委員長職務代理者(副委員長) 前年度も2日間が台風で中止となったため、今年こそは盛大な阿波踊りを開催したいと思っていたが、新型コロナウイルスの感染が拡大する現状を踏まえると中止もやむを得ず、非常に残念でならない。ぜひ来年度の阿波踊りに期待してほしい。

 時機的にもいい決断 徳島市の阿波踊り事業の運営実務を担う民間3社共同事業体の総責任者・前田三郎キョードー東京取締役 感染が拡大する中、開催は難しいと思っていた。タイミング的にもいい決断だったのでは。今は我慢のしどころだ。踊りの次なるステップに向け、支援と努力を続けたい。

 残念だがやむを得ぬ 飯泉嘉門知事 県内最大の誘客イベントであり、県内外の阿波踊りファンが毎年楽しみにされている。地域経済活性化にも大いに資するだけに、中止は大変残念だ。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大防止や参加者、観客の安全・安心の観点からはやむを得ないと考えている。