僧侶や医療関係者約20人が参加した四国臨床宗教師会の設立式=徳島市八万町のかんぽの宿徳島

 終末期のがん患者や災害被災者らへの傾聴ボランティアを通じて不安や悲しみを和らげようと、徳島、香川両県の住職ら5人が「四国臨床宗教師会」を発足させた。説法や布教は行わず、宗教や宗派を超えて活動し、神道やキリスト教などの聖職者にも参加を呼び掛けていく。

 臨床宗教師は、被災地や医療機関などで心のケアに当たる宗教者。東日本大震災で僧侶や牧師らが連携して活動したのを機に、養成が始まった。これまでに全国の約250人(徳島は3人)が東北大で開かれる養成研修を修了。3月には日本臨床宗教師会(仙台市)が資格認定制度を導入し146人(徳島2人)が認定を受けた。

 2015年に研修を修了した昌光寺(上板町椎本)の南千代住職(58)は「医療現場は忙しく、じっくりと患者の話を聴くのが難しい。心のケアに当たる専門家が必要」と傾聴の意義を強調。四国での臨床宗教師の活動を活発化させ、協力し合える体制づくりを目指してきた。

 15日、徳島市八万町のかんぽの宿徳島で設立式が行われ、四国内外の僧侶や医療関係者ら約20人が出席。日本臨床宗教師会事務局長の谷山洋三東北大大学院准教授(臨床死生学)らの講演もあった。

 今後、患者や病院などから傾聴の依頼を受け付けるほか、メンバーが定期的に集まって勉強会を開く。問い合わせは四国臨床宗教師会事務局<電088(694)5654>。