徳島市中心部の渋滞緩和を目的に県と国土交通省が整備を進めている徳島外環状道路(総延長35キロ)は、徳島北環状線(徳島市川内町大松―藍住町東中富、9・0キロ)が2000年に、徳島東環状線の川内工区(3・3キロ)が12年に開通し、側道などの暫定開通区間を含めると全体の4分の3が通行できる状態になった。だが県、国ともに財政が厳しい中、平面部がおおむね暫定開通し高架部の工事が進む東環状線に比べると、南環状線、西環状線は未開通区間が多い。1986年の事業化から30年余りを経てなお全線開通のめどは立っていない。

阿波しらさぎ大橋―県道元町沖洲線間の北行き車線の18年度内の開通を目指し工事が進められている東環状線の工事現場=徳島市安宅2

 ●東環状線(徳島市川内町大松-八万町大野、10・4キロ)

 国道11号の川内町大松から吉野川までの4車線区間と阿波しらさぎ大橋は12年に完成。阿波しらさぎ大橋南岸から八万町大野までは側道のほぼ全線が暫定的に開通しているものの、高架部で開通したのは、末広道路を除くと一部にとどまる。

 阿波しらさぎ大橋と末広大橋を結ぶ末広-住吉工区(1・8キロ、事業費490億円)では、北から高架部の建設が進む。15年に県道元町沖洲線まで0・9キロの南行き車線が先行開通しており、県はしらさぎ大橋―県道元町沖洲線間の北行き車線の18年度内の開通を目指し、同年度の東環状線整備予算12億9千万円の大半を投入する。

 残る八万町大野までの新浜八万工区(2キロ、事業費390億円)はまだ高架部の建設は具体化していない。四国横断道の津田インターチェンジ(IC)が20年度に完成すると、周辺の交通量増加が見込まれることから、同年度までに県道徳島小松島線を経由せずに末広道路との間を直接結ぶ区間300メートルの暫定開通と、国道55号までの暫定2車線区間1・7キロの4車線化を目指している。

 ●南環状線(八万町大野-国府町観音寺、9・5キロ)

 この区間のみ国交省が事業を担い、事業費は1191億円。全線開通すれば八万町大野―国府町観音寺間を国道55号と192号を使って行くよりも、28分の時間短縮が見込まれている。

 国道55号から文化の森総合公園のそばを抜けて上八万ICまでの3・3キロは側道や本線が暫定2車線で15年2月までに開通した。国府町では鮎喰川から国道192号まで2・6キロの側道が完成した。

 だが東環状線に比べると、未開通部分も多い。トンネルを2本抜く鮎喰川―上八万IC間3・6キロは用地買収が難航しており、地権者との交渉が続いている。

 国府町の沿線では徳島市が道の駅の建設を計画したが、全線開通が見通せないため、見直しを進めている。

 ●西環状線(国府町観音寺―藍住町東中富、6・1キロ)

 国道192号から北へ1・5キロの国府工区(事業費240億円)は08年に側道が完成した。現在は国府町池尻から藍住町東中富までの国府藍住工区(4・6キロ、事業費520億円)で側道を整備中で、09年に国府町池尻の北300メートルの側道が開通した。だが、高架部と吉野川架橋区間の着工の見通しは立っておらず、他の環状線に比べて整備が遅れている。

 18年度は2億3千万円を計上し、国府藍住工区の側道を北へ延伸するため用地買収や埋蔵文化財調査を進める。