新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、徳島県内の小中高校では5月6日までの予定で休校が続いている。異例の長期休校によるストレスの増加や生活リズムの乱れで、新生活にうまく対応できない児童・生徒が増えることが懸念されている。心身の不調から立ち直る上で大切な「レジリエンス(心の回復力)」を高めるための四つのポイントを、県内の小中高校でスクールカウンセラーとして活躍する臨床心理士の大西尚子さんに紹介してもらった。

 学校が休校になり、家庭などで過ごしている皆さん、今困っていることやつらいこと、悩んでいることはありませんか?

 「勉強が遅れてしまうんじゃないだろうか」「部活が中止になって目標や打ち込めるものがなくなってしまった」「他のみんなはどう過ごしているんだろう」などと不安になったり、外出が難しくなったことでストレスやいら立ちを感じたりしている人もいるかもしれません。

 今回のように、突然の困難な事態に直面した時、私たちの心や体はさまざまな反応を起こします。不安を感じたり、イライラして落ち着かなかったり、体調を崩してしまうこともあります。このような反応はごく自然に起こることで、決しておかしいことでも特別なことでもありません。

 ですが、この不安がとても強かったり長く続いたりすると、やはりつらいですよね。そこで、私たちの心を健康に保つためのポイントをご紹介したいと思います。

 私たちは「レジリエンス」という力を持っています。「心の回復力」とも言われます。このレジリエンスをうまく働かせることによって、困難な状況に直面してもストレスに押しつぶされず、うまく適応することができるのです。

 では、心の回復刀「レジリエンス」をうまく働かせるためには、どんなポイントがあるのでしょうか。

 

1、やっぱり!?生活リズムは大切

 心のお話をしているのに「生活リズム」が出てくることを不思議に思う人もいるかもしれませんが、私たちの心は、体や生活環境ととても強く結びついています。早寝早起き、バランスのとれた食事はもちろん、日中は心地よく体を動かしたり、学校で出されている課題にしっかり取り組んだりすることも、生活リズムを整えるのに効果的です。

 

2、新しいことにチャレンジ!

 このような非常時、私たちは否定的で悪い情報を受け取りやすくなり、考え方も後ろ向きになりがちです。「家から出られない」「やりたいことができない」という考えから「時間がある」「新しいことに挑戦するチャンス」という考えにシフトさせてみるといいかもしれません。

 学校の他にも、部活動や塾、習い事で忙しい毎日を送っていた皆さんが、これまでできなかったことに時間を使えるチャンスです。苦手な学習分野を克服したり、筋トレなどの基礎トレーニングに打ち込んだり、料理やものづくり、音楽や本の鑑賞といった新しい楽しみを見つけるのもいいですね。

 

3、学校生活をシミュレーションしてみよう

 学校が始まったら、どんなことをしたいですか? 新入生なら新しい友達を作ったり、部活動を選んだりするのも楽しみですね。友達に再会したらどんな話をしますか? 心配なこともあるかもしれません。そんな時は、どんな風に対処できるでしょうか。

 長い休みが続いていますので、どうしても普段の学校生活とは遠ざかってしまいがちです。学校が再開した時のことをいろいろとイメージして、前もって準備をしてみてください。気持ちに余裕ができて、不安が和らぐかもしれません。きっと学校が再開した時の助けにもなってくれると思いますよ。

 

4、人とつながろう

 「毎日ヒマだね」「これからどうなっていくのかな」「宿題どこまで終わった?」

 こんな風に仲間と言葉を交わすだけで、何だかホッと安心します。何となく心細かったり不安だったりする気持ちを共有できるからです。今は直接友達と会うことは簡単ではありませんから、SNSや電話などを使って、ぜひ友達とつながってください(もちろん、SNSの使い方にはこれまで通り気配りが必要ですよ)。

 そして、家族はもちろん、学校の先生やスクールカウンセラーなど、皆さんが困ったり悩んだりした時に力になってくれる大人に、ぜひ話してみてください(学校によっては電話での相談を受け付けています)。皆さんが心も体も元気に、この休校期間を乗り越えることができるよう、みんなで応援したいと思っています。

 

大西さんからのメッセージ

 特別な不安や悩みはない…という人もたくさんいるでしょう。自分の不安やストレスと上手に付き合えているのかもしれませんね。でも、形にならない漠然とした小さな不安が、自分でも気づかないうちに積み重なって大きくなってしまう場合もあります。

 まずは、自分の心の調子に目を向けてみてください。レジリエンスはうまく働いているでしょうか?

 今やれていること、頑張れていることを探してみましょう。上記の四つのポイントの中にも、もう既にできていることがきっとあると思います。もし、もう一つやれることがあるとしたら、どんなことができるでしょうか。自分ができることからやればいいのです。

 そうやって今の危機を少しずつ乗り越えながら、また学校で会える日を楽しみに待っていてほしいと思います。

 長期間の休校でいろいろなことが制限されてストレスを感じている人は多いと思います。ただ、皆さんが学校に行かないことが、感染を防いで多くの人の命を守ることにつながっています。社会の一員として役割を果たしていることを誇らしく思って、自信を持って新学期を迎えてください。