新型コロナウイルスの猛威は収まる気配を見せず、政府の緊急事態宣言の対象もついに日本中に拡大された。感染の広がりや暮らしへの影響を最小限に抑えられるのか。生活を巡る政府の新たな対策をまとめた。

雇用調整助成金 最大9割に引き上げ

 

 失業者の増加を防ぐため、政府は企業向けの雇用調整助成金を拡充しています。

 Q 雇用調整助成金とは。

 A 業績が悪化した企業が従業員を休ませた際に支給される助成金です。企業は従業員に休業手当(賃金の60%以上)を払う義務がありますが、この分を助成金で補うことで、なるべく解雇しないよう促す狙いです。感染症の影響で景気が悪化する中、政府は雇用維持策としてこの助成金を拡充しています。

 Q どのように拡充するのですか。

 A 4月1日~6月30日を緊急対応期間として、助成率を中小企業は5分の4、大企業は3分の2に引き上げます。企業が従業員を一人も解雇しなかった場合はさらに上乗せし、中小は10分の9、大企業は4分の3を支給します。本来は雇用保険に加入している人が対象ですが、特例でパートやバイトといった週20時間未満勤務の非正規労働者や、入社6カ月未満の新入社員も対象になります。営業時間短縮の要件も緩和し、店舗や部門ごとに適用します。

 Q すぐにもらえますか。

 A ある程度時間がかかります。手続きの煩雑さが問題になっていることから、厚生労働省は申請書類を簡素化しました。記載事項を半分近く減らし、手書きのシフト表なども添付書類として認めます。審査人員も増やし、これまでは2カ月だった審査期間の目安を1カ月に短縮します。

介護施設 デイサービス休業も

 

 緊急事態宣言で介護施設も感染拡大対策が強化されました。

 Q 宣言の影響は。

 A 高齢者は重症化や死亡リスクが高い「感染弱者」とされています。これまでも自治体は国の通知によって介護施設の休業要請ができましたが、法的根拠に基づくものになりました。

 Q 対象の施設は。

 A 食事や入浴といった介護を受けるために通うデイサービスや、家族の都合などで一時的に宿泊するショートステイが対象です。特別養護老人ホームといった入所施設は、状態が重い高齢者の生活の場となっているので対象外です。

 Q どのようなときに休業になるのですか。

 A 都道府県知事が、まん延を防ぐために必要だと判断した場合、期間を定めて休業要請することができます。正当な理由なく要請に応じない施設には指示もできます。

 Q 既に休業している施設はあるのですか。

 A 厚生労働省によると、緊急事態宣言の先行7都府県では、デイサービスなどの260事業所が休業しました。ほとんどが自治体の要請ではなく、自主的に休業を選んでいます。

 Q 宣言の対象が全国に広がった影響は。

 A 各地で休業が増えそうです。これまでの介護を受けられず、体調が悪化する恐れがあります。自宅を訪問するヘルパーなど、代わりのサービスがないか、自治体に相談しましょう。

縮小保育 登園自粛、利用料返還

 

 国は自治体に保育所を原則開所するよう要請していましたが、緊急事態宣言で、縮小保育を検討するよう変更しました。

 Q 縮小保育とは。

 A 保育所は継続しますが、預かる子どもの人数を減らします。保護者が仕事を休める家庭や、育児休業を取得中の家庭には、登園の自粛をお願いします。預かる子どもが減れば、保育所での過密状態は避けられ、感染リスクも減ります。自粛した場合、利用料は日割り計算をして返還されます。自治体で検討した結果、通常保育を継続しても問題ありません。

 Q 臨時休園はできますか。

 A 未就学児は1人で留守番をするのが難しく、休園すれば働く保護者への影響が大きいです。ただ、著しく感染が拡大し、縮小保育も困難な場合は、臨時休園を検討できるとしました。園児や保育士が感染した場合も同様です。

 Q 全ての人が子どもを預けられなくなるのですか。

 A ひとり親のほか、医療従事者や警察官といった社会機能の維持に必要な仕事をしている家庭は例外とするよう呼び掛けています。保育所を閉じる場合には、保護者が困らないよう何らかの代替措置を求めています。

 Q 学童保育は。

 A 主に小学校低学年の子どもを預かる放課後児童クラブ(学童保育)も、保育所と同様の運用となります。

病床確保 軽症者はホテル療養

 

 全国各地で流行のピークに備えた病床確保が急務となっています。

 Q 感染者を受け入れる病床は全国的に確保できているのですか。

 A 東京都、大阪府などの大都市圏だけでなく、人口の少ない県の中でも病床が足りなくなる恐れが出ているところがあります。

 Q 大変ですね。

 A 従来は感染者は感染症法に基づき、症状の程度にかかわらず原則入院していました。しかし現在は、感染者の多い自治体では軽症者や症状がない人はホテルなど、自治体が用意した宿泊施設や自宅での療養を進めています。

 Q どうして方針が変わったのですか。

 A 重症者の治療に必要な病床を確保し、死者を出さないようにするためです。高齢者や妊婦、糖尿病などの基礎疾患がある人、抗がん剤を使っている人は重症化するリスクが高いため、原則入院となります。

 Q 宿泊施設では不安です。

 A 保健師や看護師が健康状況を確認し、症状が悪化すれば病院に入院することになります。食事や宿泊代はかかりませんが、日用品の費用負担は発生します。

 Q 自宅での療養は。

 A 外出しないことが前提です。家族がいる場合、個室の確保が理想ですが、難しければ同じ部屋にいる全員がマスクを着け、十分に換気することが必要です。

障害者福祉 代替支援の確保必要

 

 障害がある人の生活を支える障害福祉サービスの対応が示されました。

 Q 内容は。

 A 緊急事態宣言に伴い、都道府県知事が感染のまん延を防ぐために必要と判断すれば、通所施設と短期入所施設に対し、縮小や休業を要請できます。ただ要請があった場合でも、事業者は特に支援が必要な障害者が代替支援を受けられるようにする必要があります。

 Q 要請がない場合は。

 A 要請がなくても感染防止のために通所・短期入所の縮小が可能かどうかを検討するよう求めています。家族が自宅で対応できる利用者には、通所を控えるよう求めることなどです。利用者や職員が感染したり、地域で感染がまん延したりしている場合も自主的に休業を検討します。特に支援が必要な人への代替策も確保します。

 Q 代替の支援とは。

 A 家族がいなかったり、障害が重くて影響を受けやすかったりする人向けに、通所の代わりに自宅への訪問などを行います。市町村と事業所が連携し、人手を確保します。利用者や保護者が強いストレスを受けて緊急性が高いと判断された場合は、人数や時間を絞って事業所を開き、対応することも考えられます。

 Q 影響が不安です。

 A 厚生労働省は、休業などで状況が変わる際は、利用者に丁寧に説明するよう求めています。(共同)