新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、徳島県内でも県民の暮らしや経済活動など、さまざまな分野に影響が広がっている。どんな課題が今、顕在化し、この状況にどう対応すべきなのか。政府などの状況判断に問題はないのか。前線に立つ人に話を聞いた。

24時間オープンのフードバンク。補充した先からすぐになくなっていく=徳島市沖浜町

 4月からウイルス感染拡大防止のため、徳島市沖浜町で定期開催していた子ども食堂をいったん休み、食料を無料で提供する「みんなのフードバンク」にスタイルを変えた。24時間いつでも、必要な人が必要なだけ持ち帰ることができる。

 ツイッターなどSNSで協力を呼び掛け、全国から毎日、コメや缶詰、レトルト食品が届いている。

 「明日からモヤシしか食べるものがなかった」という人や「ずっとコメを口にしていない」と話すシングルマザー、「バイトの収入がゼロになったし、県外の実家にも帰れないし」という学生―。利用者に話を聞くと、コロナによる収入減、給食がないことによる食費増で家計が非常に切迫している。まず主食のコメからなくなっていくことからも深刻さが分かる。補充した翌朝にはもうすっからかんという状態が続く。

 目の前に困っている人がいる。だからどうにかしようとしているけれど、こんなのは山火事をバケツリレーの水で消そうとしているようなもの。ウイルスが広がるというのは仕方がない現象。だけど、そこから派生する経済問題を解決するのは本来、政治の仕事だ。

 人を死なせてはいけない。それなのに政府は、生活に対する十分な保障をせずにマスクを配って「国民がんばれ」と言っている。明らかにおかしい。

 今、私はこう思っている。これは、国民が政治を避けてきたことの帰結ではないか。現政権は経済格差を放置するだけでなく、公文書改ざんなど民主主義の手続きを無視し続けている。国民はそれを許し、かつ「ノンポリ」であることを良しとし、政治色のあるものを社会から遠ざけてきた。

 子ども食堂も、政治と切り離され、「子どもを助ける親切な大人たち」という「美談」としてメディアで報じられてきた。だから、政権は本来の仕事である、富の適切な再分配をせずに「困っている家庭は子ども食堂へ」とメッセージを打ち出す。政府が民間の「善意」に頼れと呼び掛ける。そんなふうに子ども食堂が扱われること自体が問題だ。

 これまで、約180万円分の食料を寄付いただいている(23日時点)。フードバンクを利用した人からは「助かった」という声がたくさん寄せられている。多くは都市部の人からの支援だが、コロナ禍が続くと、食料をずっと寄付いただけるかどうか分からない。「いつまで続けられるだろう」と思いながら活動している。

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 フードバンクは徳島市沖浜町大木247にある長屋をリノベーションした「ナガヤプロジェクト」敷地内。支援方法など詳細は<https://medium.com/kodoshoku>。

 1979年生まれ。兵庫県伊丹市出身。信州大人文学部卒。2011年、徳島市に移住。2016年から仲間と共に徳島市内で子ども食堂を開設している。プログラミング教室経営。