新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、徳島県内でも県民の暮らしや経済活動など、さまざまな分野に影響が広がっている。どんな課題が今、顕在化し、この状況にどう対応すべきなのか。政府などの状況判断に問題はないのか。前線に立つ人に話を聞いた。

阿南信金理事長・佐竹義治さん

 地方の中小零細企業は新型コロナウイルスに感染しないよう心配しながら、必死に働いている。国からの迅速かつ強力な支援を期待しつつも、それ以上に何が何でも負けてたまるかという思いで頑張ってくれている。

 事業承継や働き方改革など、いろいろな課題を各企業が抱えた中で、新型コロナ感染というとんでもない、誰しも経験したことがない未曽有の事象が起き、世界中で人の動きが止まった。グローバルだけでなく、ローカルでも、外から入ってこないでと呼び掛けている。収束後の経済が元通りになるのか見えてこないのが現状だ。

 今回の事態に直面し、職員には取引先の状況把握を一番に指示した。信用金庫は地元の中小零細企業のためにある。この苦境の中で企業と共に歩むためにも、この情報がとても大切だからだ。

 実際、管内の取引先を2~3月に全て回った結果、3割くらいの企業が先の予測がつかない不安を感じていた。新型コロナの影響で廃業した会社はないが、実施済みの融資の条件変更が必要となったり、政府が打ち出した対策に沿った融資を望んだりしている企業の状況が把握できた。

 4月も終わりに近づいたが、さらにボディーブローのように利いて、ひしひしと影響が及んできているのは間違いない。例えば、阿南では4月から予定されていた石炭火力発電所の定期検査が延期された。多くの人が2カ月以上、滞在する予定だっただけに宿泊や飲食を中心に影響は大きい。状況は刻々と動いている。こちらも足を止めずに情報を集約して回る必要がある。腰を引かず、取引先にどんどん入っていき、資金繰りのことを含め、誠心誠意応えていきたい。

 国など行政にはスピード感のある対応を求めたい。そして、支援が足りないなら、予算に限度はある中だが、矢継ぎ早に手を打っていただきたい。意見の違いもスピーディーに乗り越えてほしい。当金庫も日本政策金融公庫や信用保証協会などと連携し、制度融資の有効活用に努める。

 今、経営者は、新型コロナで消えた売り上げを求めて知恵を絞っている。飲食店や宿泊施設は、来客が減少して苦悩している。逆境の中で、今までの経験をヒントに何かできることはないか、知恵を絞って乗り越えていく必要があり、一緒に考えていきたい。

 この経験は、次に必ず生きてくるはずだ。金融支援だけでなく、最近ではコロナ対応で新たな取り組みにチャレンジしているお客様をSNS(会員制交流サイト)で紹介するなど、当金庫においても新しいサポートを開始した。一緒に汗をかいていく考えだ。

 1942年生まれ。阿南市出身。富岡西高卒。64年、阿南信用金庫入り。総務部長、理事などを歴任し、95年5月から現職。