富岡西高野球部の練習グラウンドを整備する小川監督。部活動中止に伴い2カ月近く使われていない=阿南市の同校

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、徳島県内公立学校の部活動が中止されて2カ月近くがたった。全国高校野球選手権大会の開催が不透明な中、各校の野球部員は不安を抱えながらも、自主練習に励んでいる。練習場所やメニューが限られる上に対面指導ができないとあって、各監督は選手の仕上がりやモチベーションの保持に気をもんでいる。

 昨年まで2年連続で夏の甲子園に出場している鳴門は、部活動が中止された3月2日以降、LINE(ライン)で毎日、キャッチボールやランニングなど練習した内容をコーチ陣に報告させている。打撃スイングなどの動画を撮影し、チェックを受ける部員もいる。

 森脇稔監督は「個人でできることには限界がある。ぐっと伸びる時期の3、4月に全体練習ができないのは痛い」と話す。中でも投手は投げ込めないため、肩の筋力がついていない。部活動再開後は、故障しないよう慎重に練習させる予定だという。

 昨春の選抜大会に21世紀枠で初出場した富岡西も同様に、部員の日々の練習内容をラインで報告させている。春休み明けの学校再開が延期され、気落ちする部員が多かったため、小川浩監督は「夏に向け気になるチームはどこか」など選手のやる気を高められるようなメッセージを送り返信させている。

 追い込む練習ができておらず、心配なのは体力不足。小川監督は「再開までに走る量を増やしたい」と力を込めた。

 「やらされる3時間より自分からやる30分」「野球は一人では勝てないが一人で負ける」。昨年の県秋季大会を制した徳島北の住吉圭吾監督は、野球に関する心構えを記した「日めくりカレンダー」の言葉を毎日、ラインで部員31人に送っている。先が見えない中、少しでも目標を高く持たせるためだ。

 住吉監督は「一番不安なのは、全国選手権が開かれるかどうか。自分たちの力ではどうしようもない」と神妙な表情で語った。

 グラウンドが使えない中、各校の部員は知恵を絞り、練習場所の確保に努めている。硬式球を打てるバッティングセンター「ハードスピリッツ」(徳島市西須賀町)はマウンドも備え、投球練習もできるとあって約10校の部員が訪れている。

 同センター代表で元高校球児の浦善博さんは「十分な練習ができず不安な気持ちを抱いている球児に元気になってほしい」と、料金を通常の半額にしている。毎日来ているというある高校の3年生バッテリーは「実戦に近い練習ができて助かっている」と笑顔を見せた。

 鳴門、富岡西、徳島北各高校の主将が、夏の甲子園出場に懸ける思いを語った。

  鳴門・田口史樹(しき) 個人練習が続くが、気持ちが折れてはならない。夏の甲子園が絶対あると信じて、プレーする自分たちを毎日イメージして続けるしかない。長期間にわたり全体練習ができていないので、部活動再開後はコミュニケーションを特に意識し団結力を高める。 

 富岡西・小田隼(はやと) 休校中で時間があるからこそ徹底的に鍛えられると皆が前向きに捉え、自主練習に励んでいる。全体練習が始まったら部員間の意思疎通を図り、チームが掲げる「ノーサイン野球」に磨きをかける。ずっと勝てていない鳴門を破って甲子園に出場したい。

 徳島北・河野勇真 休校中も部員が気持ちを切らさないよう、電話やラインで連絡を取り合っている。自分は投手なので指先の感覚を保てるよう、キャッチボールの一球一球を大切に練習している。部活動再開後は実戦力をつけ、指導してくれた住吉監督を甲子園に連れて行きたい。