新型コロナウイルスの感染拡大防止のため家庭で過ごす時間が長くなり、ドメスティックバイオレンス(DV)の増加や深刻化が懸念されている。徳島県内の支援団体にも「夫の機嫌が悪く、暴力を振るわれた」といった相談が寄せられている。感染終息の兆しが見えない中、ストレスや経済的不安の矛先が家族や交際相手に向けられるケースが増える恐れがあり、関係者は警戒を強めている。

 「夫のストレスが爆発し、殴る蹴るの暴行を受けた」。3月下旬、DV被害者支援に取り組む一般社団法人「白鳥の森」(徳島市)に女性から相談があった。女性はコロナの影響で休職しており、1DKの自宅で夫と過ごす時間が多くなっていた。暴行を受けた後、自宅を出たものの、今後の生活の見通しは立っていないという。

 別の女性は夫と別居中で、夫に気付かれないよう子どもを呼び寄せるつもりだった。しかし子どもの学校が臨時休校となり、自宅を出る口実がなくなった。

 野口登志子代表理事は「感染拡大に伴い、弱い立場にある女性や子どもにしわ寄せが来ている。影響が長引けば、さらに深刻な事態になる」と言う。

 全国のDV被害者支援団体でつくるNPO法人「全国女性シェルターネット」は3月末、外出自粛や経済状態の悪化により家庭内でのリスクが高まるとして、国に対策を求める要望書を提出。これを受け、内閣府は4月3日、被害者への迅速な対応などを各都道府県に通達した。

 県はホームページで県内3カ所の女性こども相談センターの連絡先などを紹介。男女参画・人権課は「困り事があればすぐ相談してほしい」とする。現時点で県や県警、各支援機関に寄せられるDV相談の件数に目立った変化はない。

 ウィメンズカウンセリング徳島(徳島市)の河野和代さんは「夫が在宅勤務になり四六時中監視されて電話できないなど、相談しにくい状況に追いやられている人もいる。被害は潜在化しやすくなっており、会員制交流サイト(SNS)での相談を拡充するなど工夫を凝らす必要がある」と話している。