徳島市の阿波踊りに4億円余りの累積赤字が生じた問題を巡り、昨夏まで主催者の一つだった市観光協会は16日、徳島地裁の破産手続き開始の決定を不服として高松高裁に即時抗告した。協会は県内外の個人、企業からの融資などで負債を弁済できると強調し「今後も協会が阿波踊りを主催すれば、負債返済に市民の税金は必要ない」と訴えた。
 協会の山田実理事と花野賀胤事務局長らが市内のホテルで記者会見。3月1日に市が破産手続き開始を申し立てて以降、約3億3千万円の融資が集まったことを明らかにした。協会が保有する現預金約1億5千万円と合わせると、約4億円の債務は全額弁済でき、当面の運転資金も確保できると説明した。
 融資は県内外の個人や企業、団体十数者から集まり、現在、全額を弁護士の預かり口座で管理。16日に抗告状と口座の通帳のコピー、融資の申出書を裁判所に提出したとしている。
 市は協会に代わる阿波踊りの主催組織を今月中にも立ち上げる方針だが、山田理事は「(抗告が認められれば)すぐにでも理事会なり実行委員会なりを開き、粛々と本年度の阿波踊りを開催したい。そうなれば(市が設立を予定している)組織がどうして必要なのか」と話した。
 昨夏まで協会と阿波踊りを共催してきた徳島新聞社は12日、赤字の道義的責任を取る形で、今後の阿波踊り運営のために3億円の寄付と基金創設を市に提案している。
 遠藤彰良市長は「市としては4月下旬に新たな実行委を設置し、阿波踊り事業の透明性を確保し、円滑かつ健全に実施できるよう責任を持って取り組みたい」とするコメントを出した。