徳島健生病院(徳島市)に通院していた兵庫県の男性が新型コロナウイルスに感染しているのが確認されて以降、同病院に通院歴のある患者が徳島県内の別の医療機関から診察を断られる事例があったとして、県と県医師会は30日、適切な対応を求める文書を県内の病院などに送った。

 関係者によると、県内の病院や介護事業所などから「健生病院にかかっているのなら、来ないでほしい」などと言われ、診療や通院を断られた患者が複数いるという。事態を把握した健生病院から相談を受けた県は、県医師会と県歯科医師会、70の医療機関にファクスで文書を送付した。

 文書では、健生病院は十分な感染対策を講じた上で医療行為をしていたにもかかわらず、同病院の患者が他の施設で受け入れ拒否などに遭っているとして「科学的根拠に基づかない行き過ぎた対応や人権侵害が確認されている」と指摘。「不確かな情報に惑わされることなく、正しい情報に基づいた冷静な行動を願う」と呼び掛けている。

 県医師会もこの日、ウイルス感染者の治療などにかかわる医療機関や医療従事者、患者、その家族らへの人権に配慮するよう求める文書を、所属する654の医療機関に送った。

 徳島市の男性医師は「健生病院が十分な感染予防策を取っていたという情報が伝わっていなかったため、医療機関が疑心暗鬼になった可能性がある。そんな恐怖心こそがコロナウイルスの本当の恐ろしさだろう」と話した。