写真を拡大 窓際の座敷席。壁には千鳥が舞う。

住宅街の合間を縫うくねくねと細い道。この道で合っているのだろうかと不安になった頃に、立派な瓦葺きの古民家「上田邸」が現れた。空き家だったこの場所をリノベーションし、昨年10月から古民家カフェを開業したのは中川有彩さん(26・石井町出身)だ。香川大の学生だった頃、「直島地域活性化プロジェクト」に参加した。プロジェクトの一環として、古民家カフェをマネジメントし、学生だけでメニューの考案やイベントの企画・運営を行った。関わりが深まるうちに古民家の趣ある雰囲気や居心地の良い空間に魅了されていった。そしていつしか古民家カフェを開くことが自身の夢となった。そう心に決めつつ、卒業後は社会人としての経験を積むため、ブライダル業に就き、接客やマナー、社会常識を学んだ。

写真を拡大 中川有彩さん。「“心と体で時間を楽しむ”がお店のコンセプトです」。

 故郷の石井町で夢の実現に向け動きだしたのは2019年。不動産店で石井町内の古民家の物件がないか探し、2カ月が経った頃、上田邸と巡り合う。

 邸宅は、築120年以上の立派な屋敷だった。家の基礎には青石を、天井などの建材には屋久杉が使われている。竣工当時から残る建具は、磨りガラスに細かな模様が施され「ここまでこだわっているのは今はほとんどない」と改装作業にあたった大工さんも舌を巻くほど。以前は地元の名士である方の住まいで、日頃から地域の人が集まる場所になっていたそうだ。

写真を拡大 立派な建て構えの上田邸。

 修復する際は、純和風家屋の骨組を生かしつつ、斬新さやモダンな要素を採り入れた。畳の部屋はブラックとダークブラウンをメインカラーに決め、ビーズクッションや座布団、テーブル席など座面のチョイスを楽しめるようにした。また、二面の窓からは日の出から日の入りまで眺められる。それをヒントに、有彩さんが壁に手を加えた。千鳥が舞う青壁部分には太陽や雲海、月夜をイメージした模様をあしらった。光の加減により、うっすらと見え隠れする。

 一方、洋室は色とりどりの配色で、和ポップに。破れていた障子は、自身でピンクや黄色、黄緑、青などカラフルな画用紙で張り替えた。押し入れを修繕し、上段は本やステンドグラスの鳥の照明を飾った。下段は子ども用のキッズスペースに作り変え、自由に落書きができる壁に。子どもたちが思い思いにクレヨンで描いたイラストで溢れている。

写真を拡大 洋室。色とりどりの障子の奥には、赤ちゃんが休めるベッドスペースがある。

 11時から14時まで楽しめる日替りランチ(950円)は、メインディッシュが週ごとに替わる。取材日は有彩さんお手製のハンバーグシチュー。ハンバーグはふわっとした口当たりで、肉汁がこぼれ出す。副菜は、赤カブのマリネ、スナップエンドウのピーナッツ和え、カリフラワーと新玉ねぎのサラダの3品。石井町で育てられた野菜を中心に県産品を揃える。

写真を拡大 日替りランチ(950円/11:00~14:00)。ハンバーグシチューにはじゃがいもやニンジンがごろごろっと入る。

 「カフェをしたいっていう気持ちはもちろんなんですが、地域のコミュニティの場にしたいという思いがあって。1人で住まれているお年寄りの方や、今まで人と繋がりを持てなかった方が、ここで過ごすことで様々な人と知り合って新しい縁ができるように、つながりを深められる場所にしていきたいです」。

 

メニュー

・からあげランチ

(880円/11:00〜14:00)

・バターチキンカレー

(890円/11:00〜14:00/10食限定)

・プレーンシフォン(450円)

 

石井町高原池北227-1

090-5713-9926

11:00〜LO16:30

火曜休、不定休

 

駐車場    あり 完全個室 あり

多機能トイレ なし 座敷席  あり

Wi-Fi      なし 開店   2019年10月