その知らせを聞いた瞬間、ある程度予想されたとはいえ、何とも言えない重い気持ちになった。「残念」「つらい」。そんな言葉だけでは収まらないかもしれない。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、県高校総体の中止が決まった。全国高校総体(インターハイ)の中止も衝撃的だが、多くの3年生は県総体が最後の大会になる。顧問の先生や保護者は「最後の夏」を失った3年生に、どんな言葉を掛けたのだろう。


 私は、適当な言葉を持ち合わせていない。でも、つないでみたい。かつて県総体に青春を懸けた一人として―。

 高校時代は30年以上前になる。中学から始めたバレーボール部に所属した。なぜか部活の思い出となると、長い月日がたっているような感じがしない。母校のコートの情景は鮮明で、今もプレーができるような気がする。もちろん、そんなことはありえないほど体形は変化している。


 3年生の県総体は、準優勝だった。インターハイ出場はならなかったものの、みんなで共に戦った最後の大会は、忘れられない。いや、心に残っているのは、大会や試合より部活で過ごした時間そのもののように思う。日々の練習はもちろん、部室でのたわいもない会話、練習帰りの買い食い…。そんな日常こそが、楽しかった。今は、そんな日常さえも奪われてしまった。


 高校生の部活でいえば、入社して2年目、夏の甲子園を取材した。出場したのは、後にプロ野球の中日のエースとなり大リーグでも活躍した川上憲伸さん率いる徳島商業高校。ある3年生の言葉が心に刻まれている。その3年生はベンチ入りできず、スタンドからチームメートを応援していた。「僕の高校生活の一番の思い出は甲子園に来たことでなく、3年間諦めずにみんなと一緒に続けてきたことです」。表情は誇りに満ちていた。


 県総体で戦えない喪失感は、計り知れないだろう。でも3年間積み重ねてきた努力と、育まれた仲間との絆は失われない。きっと人生の糧になる。

 県総体中止という現実を前にして、響かないかもしれない。それでも自信を持って言える。私自身がそうだから。忍耐力、諦めない心、責任感、助け合う気持ち、一生の友や先輩後輩…。これらは部活を通して培われた。

 先行きが見えない状況が続く。耐えてほしい。私は、部活を続けてきた頑張りを心からたたえ、それぞれの道を歩む皆さんを応援する。(卓)