原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場となり得る地域を示した「科学的特性マップ」で、徳島県のほぼ全域が適地になり得る可能性があるとされたことについて、飯泉嘉門知事は31日の定例会見で「徳島県としては受け入れを認めることができないという立場だ」と述べ、最終処分場の県内受け入れを拒否する姿勢を示した。

 知事は、南海トラフ巨大地震が発生した場合は県内全市町村で最大震度が6弱以上と想定され、中央構造線地震でも県内の広範囲で震度6弱以上が想定されていることを強調。マップの問題点として「好ましくない地域として活断層の直上しか考慮されていない。熊本地震などでは直上以外でも被害が出ている」と指摘した。

 2007年に県議会と海陽、牟岐、美波の3町議会が、隣接する高知県東洋町の最終処分場誘致に反対する決議を全会一致で可決したことも挙げ、「決議を受けて私自身も資源エネルギー庁に強く申し入れた。この時の判断が県民の意見と考えている」と述べた。

 核のごみを地下300メートルより深い岩盤に埋める地層処分については「(賛成かどうか)そこまでの科学的な知見があるわけでない。地震列島、火山列島の日本として詰めた議論が必要ではないか」との見方を示した。

 経済産業省が公表したマップでは、県内は鳴門から海陽までの沿岸8市町と北島、藍住、板野、上板、阿波、美馬、石井、神山、吉野川、佐那河内、勝浦、上勝、那賀の計21市町村が最終処分場の候補地として最適とされ、中央構造線を除く県内のほぼ全域が「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い」地域に分類されている。