河野美香医師

月経が試合日と重なる

 【質問】高校生の娘がスポーツ競技に打ち込んでいます。生理(月経)痛がひどい時や出血量が多い時があり、試合日に生理が重なると集中できず、本来の力を出せなくて困っています。薬で生理周期をずらすことができると聞きました。体に負担はかからないのですか。病院は婦人科を受診するのですか。また、コンディションを安定させるためにはどんなことに気を付ければいいですか。

中用量ピルで周期ずらす

 【答え】河野美香・伊月健診クリニック医師

 月経が試合に当たらないように薬を使って、移動させるのは可能です。薬はホルモン剤で、ドーピング薬剤ではありません。また体への負担は少ないです。

 月経の移動は「早める」と「遅らせる」の二つの方法があります。薬は女性ホルモン剤(エストロゲンとプロゲスチンの2種類を含む)の中用量ピルを使用します。

 早めるのは、試合日に当たる月経の前の月経開始日の5~7日目から1日1錠内服し、月経が来てほしい2、3日前に中止します。

 一方、遅らせるのは、予定月経の5~7日前から月経が来てほしい2、3日前まで内服します。

 しかし、遅らせるのは、体重の減量が必要な競技では内服中は体重を落としにくいことや、月経前の多少不快な状態が続くことが難点。月経を移動させるだけで、月経痛や月経量が多いのは改善しません。だから早めるのを勧めます。

 ▷月経痛がある▷月経前の体調不良が長い▷月経量が多い▷試合や遠征が多く頻繁に月経の移動を希望する―などの場合は継続して内服するホルモン剤が有効です。その場合は、避妊薬としての低用量ピル(2種類の女性ホルモンの成分量が毎日同じ種類がいい)の使用もできますが、月経痛がある人が治療薬に使用するLEP製剤(低用量ピルや超低用量ピル)を使い、その薬で月経を希望する日に起こす方法がいいでしょう。欧米ではトップアスリートの8割強は低用量ピルを使用しているとのデータがあります。

 体への負担は個人差が大きく、使用した人すべてに出るわけではありませんが、時に短期間の吐き気や頭痛、腹や胸の張り、不正出血などがあります。ただ低用量ピルは薬の種類が多いので、自分に合う薬を探すことができます。どうしてもピルの内服ができないなら、プロゲスチン製剤だけで月経を調節することもできます。こちらは大きな副作用はありません。

 コンディションの安定については、月経痛があるなら、LEP製剤で月経をコントロールすれば、月経痛などの心配はなく競技に専念できると思います。詳しくは近くの産婦人科を受診して相談してください。