大仲さんが栽培している阿波すず香の苗=佐那河内村

 スダチとユズを交配させた新種の香酸かんきつ「阿波すず香」の本格栽培が本年度、佐那河内村を中心に始まった。スダチに並ぶ特産品に育てようと農家グループなどが今春、苗を定植した。阿波すず香を開発した県立農林水産総合技術支援センターなどの栽培指導を受けながら、3~5年後の販売を目指している。

 阿波すず香はスダチに比べて▽病気に強い▽種が少ない▽とげが小さい―などの特長がある。苗を生産販売する権利を持つセンターは2016年4月、県内の種苗会社の生産販売を認める契約を結んだ。これを受け、同社が今春、初めて苗230本を生産し、佐那河内村の農家グループをはじめ、吉野川高校(吉野川市)や加工業者、センターなどに販売した。

 佐那河内村のグループはメンバー11人が4月、購入した苗計150本をそれぞれの畑に植えた。同村はスダチが主力産品で、収穫期の8、9月は作業の負担が大きい。阿波すず香は病気に強い上、収穫期が10~12月にずれるため、阿波すず香の産地化を目指すことにした。

 グループは10年度から、センターとともに阿波すず香の試験栽培に取り組んできた。収穫した実を鍋料理のポン酢に使ったところ、味、香りともに穏やかで種が少ないため、販売は十分可能と判断した。

 グループの代表を務める大仲保さん(70)は「今年は4~6月に雨が少なく、枯らさないように気を遣った。センターとタイアップして実をならせ、販売できるようにしたい」と話している。

 阿波すず香は、センターがスダチより病気に強い香酸かんきつの品種を作ろうと1992年に開発に着手し、15年3月に農林水産省に品種登録を出願した。鍋や魚料理に適するほか、飲料、ドレッシング、スイーツなどに加工するのにも向いている。