江戸時代中期の浮世絵黄金期を築いた東洲斎写楽(とうしゅうさいしゃらく)や喜多川歌麿(きたがわうたまろ)らの傑作145点を紹介する「写楽・歌麿とその時代」(徳島新聞社主催)が4日、徳島市のあわぎんホールで始まった。開場と同時に大勢の来場客が訪れ、大衆文化として江戸の庶民に愛された浮世絵の世界を堪能した。22日まで。
徳島藩お抱えの能役者・斎藤十郎兵衛とされる写楽の作品は、当時江戸中で話題を呼んだ少年力士・大童山文五郎(だいどうざんぶんごろう)と人気力士を描いた相撲絵「大童山土俵入(3枚組)」など5点が展示されており、多くの来場客が足を止めて見入っていた。
美人画の大家・歌麿の作品は22点。「求めに応じ哥麿(うたまろ)自らの艶顔を写す」との文言とともに自画像を描き込んだ美人画「髙名美人見立忠臣蔵(こうめいびじんみたてちゅうしんぐら) 十一段目」などが人気を集めていた。
このほか、写楽や歌麿の画風に影響を与えたとされる鳥居清長(とりいきよなが)や勝川春章(かつかわしゅんしょう)、上方絵師・流光斎如圭(りゅうこうさいじょけい)の作品も紹介されている。
徳島市丈六町丈領の無職伊藤成生さん(77)は「昔から写楽に興味があったので初日から来た。なかなか見る機会のない貴重な作品をじっくり楽しめた」と話した。
監修を務めた国際浮世絵学会の中右瑛常任理事は「写楽が徳島ゆかりの人物の可能性があることを県民に知らせたかった。町おこしのきっかけにしてほしい」と語った。
期間中、版画刷り体験や講演会など多彩なイベントが行われる。
開場は午前10時~午後5時(金、土曜日は午後8時まで)。入場料は一般千円、高校・大学生500円、小中学生200円。