休業する店が多く、人通りの途絶えた徳島市栄町=15日午後8時半ごろ

 徳島県の緊急事態宣言解除から一夜明けた15日夜、徳島市中心部の繁華街を歩いた。新型コロナウイルス感染拡大前なら最もにぎわう金曜日。解除されたとはいえ、営業している飲食店は全体の4割ほどで、街を彩るきらびやかなネオンも消えている所が多い。通りを歩く人の姿はほとんどなく、喧噪が失われた街に、青を知らせる信号機の音だけがひときわ大きく響く。飲食店の経営者らは出口の見えない窮状を憂い、将来への不安を募らせた。

 午後8時、多くの店がシャッターを閉める両国橋南商店街を抜けて秋田町へ。テナントビルは明かりが消え、入居する飲食店も大半が「臨時休業」と書いた紙を入り口に張るなどして店を閉めている。大通り沿いに立ち並ぶ他のビルも同様の状況で、客引きの若者はたまに通る人に必死に来店を呼び掛けていた。

 栄町や富田町、紺屋町、鷹匠町などを歩いた。ちらほらと若者の姿を見掛けるだけで、最も人通りが多いとされる午後9時になっても人の姿は増えない。窓や入り口越しに店内の様子を見ても、どこも客の姿はない。

 印象的だったのは、スーツ姿の人が全く歩いていないこと。鷹匠町にあるスナックを経営する70代女性は「仕事帰りの会社員や公務員が感染を警戒して街に寄りつかない。組織に迷惑を掛けたくない気持ちは分かるけど、いつまで自粛ムードが続くのか」とため息をついた。

 秋田町のバーは、座席数を半分に減らした上で、客同士が対面にならないよう配席を工夫し、この日から営業を再開した。満席になっても収入は激減するが、感染対策を最優先に考えた。早速来店した男女3人の常連客は「繁華街が衰退すると、県民や観光客はどこで夜の時間を楽しめばいいのか。店がつぶれ、街の活気が失われれば徳島全体のマイナスになる」と話した。

 午後10時すぎ、雨脚が強まったこともあり、人通りはほぼ途絶えた。紺屋町のたばこ店の男性店主(57)は「こんなに人が少ないのは過去に例がない。このままでは映画の世界のようにゴーストタウンになってしまう」。緊急事態宣言解除を受け、久々に街を訪れた阿南市の会社員(39)は「店や客が対策をきちんとすれば、感染は防げる。徳島の経済を回すためにも国や県は飲食業への補償を充実させるべきだ」と語った。