江戸文化研究者の森山暁子さん(40)=東京都台東区=による特別講演会「浮世絵から見えるもの」(徳島新聞社主催)が6日、徳島市のあわぎんホールであり、約250人が耳を傾けた。同ホールで22日まで開催中の浮世絵展「写楽(しゃらく)・歌麿(うたまろ)とその時代」の一環。
森山さんは、同展出品作の特徴を交えて描かれた当時の時代背景などを話した。
喜多川(きたがわ)歌麿が髪を結ってもらう女性を描いた作品は、客の自宅へ髪結いを派遣する商売が流行したことが背景にあると指摘。「浮世絵は芸術家が自己表現するものではない。売るため客の心をつかむことを考え、当時の社会の様子を盛り込んでいる」と解説した。
東洲斎(とうしゅうさい)写楽の役者絵については、どんな性格の登場人物かが表情やしぐさでよく分かるように描かれているとし、「江戸時代の作品への評価とは関係なく、今の時代の素直な目で見て楽しんでもらえたら」と呼び掛けた。
会場では、箏曲家の藤本玲さん(62)=同市中洲町=と主宰する徳島箏曲スタジオの7人による演奏、古今亭志ん丸さんの落語もあった。