県外ナンバー車の流入を調査する県職員=4月22日、鳴門市の鳴門インターチェンジ

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、全国に出されていた緊急事態宣言は徳島など39県で解除され、社会経済活動は新たなステージに入った。徳島県では18日時点の累計感染者数が5人にとどまり、新たな感染者は約1カ月間、確認されていない。これまでの県の対策はどうだったのか検証する。

 「感染リスクの高いエリアとの往来がいかに危険を招くか、まざまざと証明された」。緊急事態宣言が全国に拡大されて5日目の4月21日。県内で4人目となる新型コロナウイルス感染者が確認されたと記者会見で明らかにした飯泉嘉門知事は語気を強めた。

 感染者は神奈川県への出張から帰ってきた男性だった。知事はこの日、県内の商業施設や観光施設、高速道路のインターチェンジ(IC)で県外ナンバー車の台数を調べ、多さが目立つ施設には営業自粛を求めると表明した。

 翌日、ICで双眼鏡を手に県外ナンバーをチェックする県職員の姿が各メディアで報じられた。インターネット上では、「監視しているみたい」「やり過ぎだ」といった批判の声が上がった。

 県外客を警戒する動きは元々、他県で目立っていた。感染拡大地域から感染の少ない地域に移動する「コロナ疎開」が報道で取り上げられるようになった3月下旬ごろから、地方の首長が都市部の住民に「避難」を慎むよう呼び掛ける発言が続いた。

 飯泉知事はこうした発言はせず、7都府県に緊急事態宣言が発令された翌日の4月8日の会見では、県外客について「来てほしくないというより、(それぞれの)知事が『自分のところから出ないで』と言うのを守ってほしい」と呼び掛けるにとどめていた。

 それが、16日に緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大されると、知事のメッセージは厳しさを増す。17日の会見では、県をまたぐ移動の自粛を県民に求めた上で、県外客に対しては、県が所有する宿泊施設や文化施設などで「利用をお断りさせていただく」と明らかにした。

 県内に感染経路不明者はおらず、四国の他県のようにクラスター(感染者集団)も発生していない。そのため県は「県外からのウイルス持ち込みをいかに防ぐか」に神経をとがらせていた。

 ただ、この頃から、県外ナンバー車に乗る人からの被害報告が県に寄せられるようになった。県によると、「あおり運転をされた」「暴言を吐かれた」といった内容の電話が、4月17~30日に25件あった。一方で、県の公式ツイッターなどには「県外から来ている車が多い」「県外車が多いので橋を封鎖して」など、排他的な書き込みが目立った。

 「県外ナンバー車のチェックをすると発表した際のメッセージが強すぎたのかもしれない」。知事は24日の会見で、珍しく釈明した。

 大型連休中に原則休館としていた県有施設は、一部が今月9日から営業を再開した。ただ、当面は利用を県内在住者に限定するとし、民間施設にも同様の取り組みを求めている。あすたむらんど徳島(板野町)の担当者は「本来なら歓迎する県外客をお断りするのは心苦しい」と言う。

 「大歩危・祖谷いってみる会」の植田佳宏会長=ホテル祖谷温泉社長=は「『県外客お断り』は、徳島は感染者が少ないから来てくれるな、という本音があって、それがにじみ出たのかもしれない。しかし、ずっと来ないでと言っていたら観光業界はつぶれる」。