阿南市役所

 徳島県阿南市の表原立磨市長は、政策監を任命する際に議会の同意を必要とする議員提案の市特別職指定条例改正が可決されたことに対し「議会の権限を越えている」などとして、議決のやり直しを求める「再議」を申し立てた。申し立ては1日付。同市議会での再議は少なくとも2001年12月以降は例がない。6月2日に開会する6月定例会で再議決される。

 市長は1日、申し立て理由を記した再議書を議会事務局に提出した。再議書などによると、地方公務員法第3条に特別職の規定があり、市の政策監は「議会の議決が必要な職」ではなく「首長の秘書の職で、条例で指定するもの」に当たると主張している。市特別職指定条例の規定で市長の秘書に当たり、自由に任用する職と位置付けている。

 地方自治法では、議会が議決した条例などに法令違反の疑いがある場合、首長は再議を申し立てなければならないとされている。

 市の顧問弁護士は「秘書の任用に統制をかけるのは議会の権限を越えている」と指摘した。市長は「庁内で検討を重ねる中で、再議を申し立てる事案に該当すると判断した」と話している。

 条例改正賛成派が市議会の過半数を占めるため、再議でも条例改正は賛成多数で可決される見通し。再可決された際の対応について市長は「結果を受けて判断したい」としている。不服のある場合は、知事に審査を申し立てることができる。

 条例の改正は3月定例会で、「議会の同意を得ることが優秀な人材確保につながる」などとして市議28人中22人が提案。賛成多数で可決した。

 提案者の一人の横田守弘氏(阿南至誠会)は「報酬が上がり、秘書以上の重要な職責を担う。市長の手足を縛るのが目的ではなく、市民のための人選を行うためだ」と説明する。

 市長与党の新生阿南は、条例の提案者だった4人を含め反対する方針。野村栄氏は「法令違反の疑いがある以上、反対せざるを得ない。市長の議会対応も事前説明を行うなど変化が見られ、条例改正の効果はあった」としている。

 再議 予算や条例制定、改廃に関する議会の議決に異議がある場合、首長が任意に行使する「一般的拒否権」と、議会の議決が権限を越えて法令違反に当たる際、その誤りを正すために首長が申し立てなければならない「特別拒否権」がある。今回のケースは特別拒否権に該当する。一般的拒否権が出席議員の3分の2以上の賛成で可決するのに対し、特別拒否権は過半数で足りる。