徳島大の学生が、狩猟のサークル「レビアヤークト」を発足させた。野生鳥獣による農作物への被害が各地で深刻化する中、国家資格のわな猟免許を取得して被害軽減に貢献するほか、高齢化などで減少している狩猟者の確保に向けた啓発活動などに取り組む。県消費者くらし政策課によると、大学生の狩猟サークルは全国的に珍しく、県内では初めて。
会長を務める大学院総合科学教育部1年の髙橋優子さん(22)=徳島市南前川町=が呼び掛け、6月に立ち上げた。髙橋さんのほか総合科学部と医学部の1~3年生9人が加入しており、各都道府県が実施する試験(徳島県は年3回)を順次受け、わな猟免許を取得する予定。本年度の猟期(11月15日~翌年3月31日)に、三好市の西祖谷地区猟友会の協力を得てニホンジカのわな猟に挑戦する。
7月には、県職員や猟友会会員を講師に招いて狩猟に関する講習会を3回開催。狩猟に興味のある学生も募って、約20人が県内の食害の現状や狩猟に関する法令、ワイヤロープを使ったわなの作り方などを学んだ。
髙橋さんは、地域の課題解決を考える授業の一環で2014~16年に三好市や岐阜県の中山間地を訪れ、食害に悩む農家の実情、狩猟者の高齢化など狩猟を取り巻く課題を目の当たりにした。学生の力を生かしたいと考え、知人に声を掛けたりチラシを配ったりして会員を集めた。
県によると、県内でわなや銃での狩猟登録者は1978年度に6577人いたが、2016年度は2413人に減少。60歳以上が約7割を占めている。
今後、学生や農家らにわな猟の免許取得を呼び掛けるなど、狩猟者の拡大にも取り組む考え。10月の大学祭では、会員がシカ肉のソーセージを使ったホットドッグなどを販売し、野生鳥獣肉(ジビエ)料理の魅力をPRする。
髙橋さんは「狩猟の意義や魅力を多くの人に伝えて、ハンターの減少に歯止めをかけたい。食害は山間部だけでなく、身近な問題であることも啓発できれば」と話している。