子どもの病気で最も多いのは呼吸器系の感染症です。いわゆる感冒と呼ばれるもので、ほとんどの原因がウィルス感染ですが、中には細菌が関与することもあります。鼻やのどから入った微生物が気管支や肺に広がって感染すると気管支炎や肺炎になります。今月は呼吸器系の感染症について考えてみました。

 感冒の原因はウィルスで、鼻やのどから侵入したウィルスが気道上皮に感染します。鼻から咽頭、喉頭までは上気道です。気管から左右の気管支へ、さらに細かく枝分かれして細気管支から肺胞に至るまでが下気道です。

 上気道から侵入したウィルスが気道上皮に感染すると、各種のサイトカインやケモカインと呼ばれる物質が産生され、好中球やリンパ球などの炎症細胞が集まります。そこで炎症が発生すると、気道粘膜の浮腫状の腫脹や粘液の過剰産生、気道上皮細胞の変性壊死によって生じた脱落細胞が気道内腔に貯留して、気道の内腔が狭窄、時に閉塞して呼吸障害を起こします。

 一般の感冒では感染が上気道に止まり、のどの痛みや咳、鼻水、発熱などが見られますが、数日の経過で軽快します。

 感染が咽頭から声帯、喉頭に及べばクループと呼ばれる症状となり、のどの痛みにかすれ声や犬吠様の咳嗽と呼吸困難が出現します。感染が気管支から肺に及べば咳、喀痰、喘鳴、発熱を伴い呼吸障害を示すようになります。小児では気道が狭く、炎症が下気道に及ぶと簡単に呼吸困難を呈するようになります。さらにウィルス感染であっても二次的に細菌感染を起こすこともあります。上気道の感染でも十分に注意して経過観察する必要があります。